この記事をまとめると

■軽EVの電気代とガソリン車の燃料代ではどっちが得かを検証

■仮にガソリンに揮発油税がかからなくなったとしても現状では電気代のほうが安上がり

■税制の不備もあってガソリン車に乗り続けるのは不利となる時代になりつつある

現状ではEVにもガソリンにも税金が投入されているが……

 電気自動車(EV)で使う電気代は、ガソリン代の約半分で済むといわれている。しかし、EVの値段が高ければ、そもそも購入額が多いのだから、損得は一概には語れない状態が続いてきた。

 日産サクラと三菱eKクロスEVが発売され、車両価格は、もっとも廉価な車種でサクラが約233.3万円、eKクロスEVが239.8万円と、ガソリンエンジン車の上級車種であるターボエンジン車よりなお高い。しかしながら、55万円の補助金を使うと、178.3〜184.8万円となり、日産デイズのハイウェイスターGターボの約164.8万円や、三菱eKクロスのTの約168.8万円に近くなる。

 そうした価格に見合う商品性を消費者が評価したためだろう、発売から約2カ月で日産サクラは約2万3000台、三菱eKクロスEVは約5500台の受注となった。

 では、燃料代はどうなるのか。

 ガソリンエンジン車でマイルドハイブリッドの日産デイズと三菱eKクロスは、基本性能が共通だ。その燃費は、WLTCで19.2km/Lである。8月8日時点でのレギュラーガソリン価格は全国平均で164.6円/Lなので、1km走るのに必要なガソリン代は8.57円になる。

 今年は、コロナ禍の影響などにより燃料価格の上昇があり、1リッター当たり170円を超えた時点で、5円を上限とした補助金制度がはじまり、160円台に抑える努力がなされている。また、4月以降は、上限を1リッターあたり35円にする措置もとられている。

税制の不備もあってガソリン車に乗り続けるのは不利になる

 一方、電気代はまだ上がっておらず、東京電力の従量Cの電気代は高い水準でも1kWhあたり30.57円だ。そして、サクラとeKクロスEVが1km走行に必要とする電力はWLTCで124Whなので、電気代は3.79円と計算できる。ガソリンターボ車に比べ、EVは燃料代が半分以下になるという話は、現実のものとなる。

 ちなみに、自然吸気エンジン車は、WLTCで21.2km/Lの燃費性能なので、7.76円/kmだ。ただし、動力性能はEVと比較にならない。

 ところで、日本のガソリンには、1リッター当たり53.8円の揮発油税が掛かっている。米国のようにほとんど税がかからない状況に日本もなったと仮定して、53.8円をレギュラーガソリン代から差し引いたらどうなるか?

 計算すると、5.77円/kmになる。つまり、たとえ揮発油税が無税であったとしても、EVの電気代のほうが安上がりと試算できるのだ。

 ところで、揮発油税は本則税率が28.7円であるにもかかわらず、長年にわたり暫定税率として増額され、53.8円という高額の税が課せられている。なおかつ、支払うガソリン代は、その揮発油税分にも消費税が上乗せされている。エンジン車とEVの燃料代比較とは別に、暫定という一時的対応の税額を上乗せしたままの揮発油税の実情と、その揮発油税にも消費税を掛ける税の二重取りについて、もっと消費者は疑問を呈するべきではないだろうか。

 いずれにしても、税制の不備を含め、エンジン車に乗り続けると損する時代に入りつつあるだろう。