日本代表FW宮市亮と韓国代表DFキム・ジンス【写真:Getty Images】

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【専門家の目|家本政明】負傷交代した宮市だが、韓国代表DFのプレーは「不用意レベル」

 日本代表は、7月27日に行われたE-1選手権第3戦で韓国に3-0で勝利した。

 森保ジャパンにとっては初タイトルとなる一方で、途中出場したFW宮市亮(横浜F・マリノス)が相手DFとの競り合いで右膝を痛めて負傷交代。キャリアで故障と戦い続けてきたスピードスターの無事を祈る声が高まる一方で、伝統的にフィジカルを前面に押し出す韓国代表に対する批判も出ている。主審はノーファウルとしたが、この判定は妥当だったのか?  2021年シーズン限りでサッカー国内トップリーグの担当審判員を勇退した家本政明氏に聞いた。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)

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 見たくないシーンだった。宮市はMF相馬勇紀(名古屋グランパス)のヘディング弾で1点リードして迎えた後半14分、横浜FMの同僚であるMF水沼宏太に代わって右サイドハーフに入った。その1分後、宮市がタッチライン際で縦に突破を仕掛けると、韓国のキャプテンを務めるDFキム・ジンスが身を投げ出してストップ。宮市はピッチに倒れ込んだが、この場面では大事に至らなかった。

 後半19分にセットプレーからDF佐々木翔(サンフレッチェ広島)のヘディング弾、同27分に華麗な連係からFW町野修斗(湘南ベルマーレ)が3点目を奪取した日本だったが、同31分にアクシデントが宮市を襲う。

 DF小池龍太(横浜FM)のスルーパスを追いかけ、敵陣のペナルティーエリア内まで駆け上がった宮市。ボールはガンバ大阪でプレーするDFクォン・ギョンウォンに先に触られたが、相手が蹴ったボールが宮市に渡って一転してチャンスになった。ゴールライン際でキム・ジンスと競り合いになった際、宮市は右膝を捻るような形で転倒。右膝を抱えてしばらく立ち上がれず、しばらくチームスタッフと会話した後、同33分にMF森島司(広島)と途中交代になった。両膝の前十字靭帯損傷という大怪我の数々を乗り越えてきた宮市は右膝を抱えながら苦悶の表情で座り込む一方、キムも心配そうに気遣う様子を見せていた。

 長年のライバルの激突となる日韓戦。負けられない一戦でフィジカルの強度が高くなることから、韓国のラフプレーという声もネット上で上がる中、国内外のトップレベルの試合を裁いてきた家本氏がこのシーンを再検証した。

「これは警告や退場に値するプレーではありません。宮市選手が足をついた際に韓国代表の膝が横から偶発的に入る形になってしまいました。とはいえ、警告となるような無謀さも、退場処分となるような過剰さもありません。いってもフリーキック(FK)レベルのものだと思います」

 主審のノーファウルというジャッジは理解できるとした家本氏は「宮市選手の無事を祈るばかりですが、もしも怪我だとすればアクシデントによるもの。映像を見る限り故意というよりはアクシデントに近い印象です。ですので最大フリーキックだと僕は考えます」と淀み無く分析した。

 現在スポーツチャンネル「DAZN」の判定検証番組「Jリーグ ジャッジリプレイ」でも活躍する家本氏だが、8月7日のJ1リーグ第24節の川崎フロンターレ対横浜F・マリノス戦で「家本政明LABO」というオンライン同時視聴イベントを開催することも決定。国内外のトップレベルの試合を700回以上担当してきた元プロフェッショナルレフェリーならではの視点による解説と質疑応答も楽しめるというこれまでになかった新たなスタイルのサービスにも注目が集まる。(FOOTBALL ZONE編集部)