by Brian Heater

Appleが発表した次世代SoCであるM2チップを搭載した「13インチMacBook Pro」が2022年6月24日から発売されます。そんな13インチMacBook Proの実機レビューを海外メディアが続々と公開していたので、M2を搭載した13インチMacBook Proの利点は何か、どんなユーザーが買うべきなのかをまとめてみました。

Apple MacBook Pro 13 (2022) review: new chip, old threads - The Verge

https://www.theverge.com/23177674/apple-macbook-pro-m2-2022-review-price-specs-features

MacBook Pro 13-inch review (M2, 2022): Pro in name only | Engadget

https://www.engadget.com/macbook-pro-13-inch-review-m2-2022-130005000.html

Apple MacBook Pro 13 (M2, 2022) Review: For a small niche group

https://www.xda-developers.com/apple-macbook-pro-13-inch-m2-2022-review/

Apple MacBook Pro M2 13-inch review | TechCrunch

https://techcrunch.com/2022/06/22/apple-macbook-pro-m2-13-inch-review/

Appleが2022年のWWDCで発表した13インチMacBook Proに搭載されているM2は、第2世代5nmテクノロジーを用いて製造され、トランジスタ数がM1から25%増加した200億に到達しています。CPUは性能コアが4つと効率コアが4つの合計8コアで、M1と比較するとCPUパフォーマンスは18%向上し、10コアCPUを搭載したPCと比べると消費電力は4分の1となっています。また、GPUは10コアとなりグラフィックのパフォーマンスや電力効率もM1より向上しているとのこと。

そのため、M2搭載13インチMacBook Proは、2020年に登場したMacBook Proと外枠はほぼ同じです。M1搭載MacBook Proと同じ2560×1600ピクセルの画面サイズ、 Retinaディスプレイ、720ピクセルのフロントカメラ、厚めのベゼルなどの見た目はうり二つ。海外メディアのXDA Developersが公開した以下の画像は、左が2020年のIntel製チップ搭載13インチMacBook Pro、右が2022年のM2搭載MacBook Proですが、違いを見分けるのは至難の業です。



接続ポートはUSB Type-Cが2つだけという点も2020年のMacBook Proと同様で……



by Devindra Hardawar

不満の声も多数上がっていた入力インターフェースのTouch Barもそのまま残っています。なお、Touch Barは2021年のM1 Proチップ搭載MacBook Proでは廃止されています。本体重量は約1.4kg、厚みは1.56cmとなっており、XDA DevelopersはMagic Keyboardを取りつけた13.9インチのiPad Proとほぼ同じ重量だと述べています。



by Devindra Hardawar

M1搭載13インチMacBook ProとM2搭載13インチMacBook Proの違いについて、海外メディアのThe Vergeは「HDMIポート、SDXCスロット、MagSafe充電など、2021年に登場したM1 Proチップ搭載MacBook Proに搭載されたクールで新しい(技術的には古いですが)機能を覚えていますか?これらの機能はM2搭載MacBook Proのどこにもありません。派手なミニLEDディスプレイやアップグレードされた1080pウェブカメラもありません」「基本的に、2020年のM1搭載13インチMacBook Proから2022年のM2搭載13インチMacBook Proに加えられた変更は、新しいプロセッサを持っているという点だけです」と述べています。

海外メディアのEngadgetは、確かにMacBook Proのユニボディアルミケースは市場に出回っている大多数のPCをしのぐデザイン性と機能性があり、新型コロナウイルス感染症のパンデミックやサプライチェーンの制約により、ケースを使い回してしまうのも理解はできるとしています。それでも、M2搭載13インチMacBook Proのベゼルが相変わらず分厚い点や、最新のProMotionディスプレイではなくリフレッシュレートで劣るRetinaディスプレイを採用した点、USB Type-Cが2つしかない点はがっかりだと指摘。また、Touch Barについては「AppleがTouch Barの在庫を残していたため、私たちがその代償を支払っているかのようです」「数年後には尾を持った原始人のように役立たずの付属物になっているでしょう」と非難しました。

M2搭載13インチMacBook Proは、M1搭載13インチMacBook Proよりもパフォーマンスが向上している一方で、2021年に登場したM1 Pro搭載14インチMacBook Proよりは低いパフォーマンスとなっています。The Vergeが行ったベンチマークテストの結果は以下の通り。The Vergeは、M1 Pro搭載14インチMacBook ProはM2搭載13インチMacBook Proよりも約300ドル(4万円)ほど高いため、性能差がみられるのは驚きではないと指摘しています。

 M1搭載13インチMacBook ProM2搭載13インチMacBook ProM1 Pro搭載14インチMacBook ProCinebench R23 マルチスレッド7729868912363Cinebench R23 シングルスレッド151915841532Cinebench R23 マルチスレッド30分ループ7729872512368Geekbench 5.3 マルチスコア7554896812596Geekbench 5.3 シングルスコア173019371770Geekbench 5.3 COMPUTE(OpenCL)192112749638688シャドウ オブ ザ トゥームレイダー(1920×1200p)20fps29fps46fpsPugetBench Premiere Pro4355561072XcodeBenchmark150.125秒132.262秒99.764秒

その上で、The VergeがM2搭載13インチMacBook ProとM1搭載13インチMacBook Proを並べてさまざまなタスクを行ったところ、350ページものGoogleドキュメントを素早く開くことができ、スプレッドシートのスクロールも高速で、タブ間の移動や計算もスムーズだったとのこと。また、ゲームの性能もM1搭載13インチMacBook Proよりも明らかに改善されていたと報告しています。

これらの点から、M1 Pro搭載14インチMacBook Proでは明らかにオーバースペックであるものの、毎日のように仕事でPCをフル活用する人にとっては、比較的安価なM2搭載13インチMacBook Proはいい選択肢になり得ると各メディアは述べています。また、M1 Pro搭載14インチMacBook Proより「バッテリー持ち」は明らかに優れており、The Vergeが8〜9時間にわたりM2搭載13インチMacBook Proを使い続けてもまだバッテリーが半分以上残っていたとのことで、最終的に17時間半〜18時間は持つだろうと述べています。この点は、ノートPCを持ち歩いてさまざまな場所で使うユーザーにとっては大きなメリットです。

全体的に、M2搭載13インチMacBook Proは性能や古いMacBook Proよりもバッテリー持ちが向上していることから、Intel製チップを搭載したMacBook Proを使用しているユーザーは特に買い換えの恩恵を感じやすいとのこと。M1 Pro搭載の14インチMacBook Proがオーバースペックであり、高すぎると感じている人にとっては、ありがたい選択肢になるかもしれないとの見解が多く見られました。

その一方で、買い換えを検討する人が気をつけるべきなのは、同じM2を搭載したMacBook Airが7月に登場するという点です。

M2搭載&薄さ11.3mmの新デザインで生まれ変わった「MacBook Air」が登場 - GIGAZINE



新たなM2搭載MacBook AirのベンチマークはM2搭載13インチMacBook Proとほぼ同じとみられており、ディスプレイサイズは13.6インチ、1080pのウェブカメラにMagSafe 3充電ポート搭載など、デザイン面でも新しくなっています。MacBook ProとMacBook Airの違いとしてファンの有無がありますが、The VergeはM2は十分に高性能であり、M2搭載13インチMacBook Proのレビュー中にもファンの音が聞こえなかったことから、あまり大きな差にはならないのではと推測しています。

各メディアの論調は、「M2搭載13インチMacBook Proは確かに前世代よりも優れているものの、買い換えを検討するユーザーはM2搭載13インチMacBook Airが登場するまで待ってもいいのでは」との意見で一致していました。