本日発売の「オール讀物」6月号は、〈第29回松本清張賞発表〉〈人気読切時代小説 江戸の夢〉。没後30年を迎えた松本清張さんに関しての企画も充実しています。


「オール讀物」6月号(文藝春秋 編)

まず今回で29回目となる松本清張賞は山本兼一さん、葉室麟さん、青山文平さん、川越宗一さんら直木賞作家を数多く輩出し、ノンジャンルの長編公募賞として国内でもっとも注目される文学賞のひとつです。阿部智里さん、額賀澪さん、坂上泉さん、波木銅さんといった、20代の若くきらめく才能も発掘し世に送り出してきました。


阿部智里さん 第19回受賞『烏に単は似合わない』


額賀澪さん 第22回受賞『屋上のウインドノーツ』


波木銅さん 第28回受賞『万事快調(オール・グリーンズ)』

今年度も応募総数757作品という激戦の中から、見事、受賞作に選ばれたのは天城光琴さんの『凍る草原に鐘は鳴る』(応募時『凍る大地に、絵は溶ける』から改題)。選考委員の辻村深月さんは「多くの読者がきっと作中に、自分の『今』を見出せる小説であると思う」、東山彰良さんは「クライマックスには、すがすがしい感動を覚えました」と評しています。お二方とともに京極夏彦さん、森絵都さん、森見登美彦さんの5人の選考委員が最終候補4作品について触れた選評、25歳の天城さんが作家デビューするまでを振り返る「受賞エッセイ」を今号に掲載しました。


『凍る草原に鐘は鳴る』で第29回松本清張賞を受賞した天城光琴さん

さらに第19回松本清張賞受賞者・阿部智里さんの「八咫烏外伝」最新話「きらをきそう」、第22回受賞者・額賀澪さんの「エスペランサの子供たち」、第28回受賞者・波木銅さんの「結局のところ、わたしたちはみな」で競作しています。

松本清張さんの没後30年企画としては、北村薫さん有栖川有栖さんが、代表作『ゼロの焦点』を様々な角度から分析、名作たるゆえんを解き明かします。北村さんは小説「中野のお父さん」シリーズの最新作「清張と手おくれ」でも、知られざるエピソードを巧みに採り入れたほか、元NHKアナウンサーの山川静夫さんによる清張秘話、温泉エッセイストの山崎まゆみさんが清張ゆかりの日本全国の温泉を紹介しています。


温泉旅館での在りし日の松本清張さん

人気読切時代小説では、山本一力さんの「損料屋喜八郎」、畠中恵さんの「まんまこと」、冲方丁さんの「剣樹抄」、坂井希久子さんの「江戸彩り見立て帖」と文庫でも大人気のシリーズが勢ぞろいしました。直木賞作家・澤田瞳子さんが描く「隠元禅師」、『黛家の兄弟』で山本周五郎賞を受賞した砂原浩太朗さんの「藩邸差配役」もふくめ、いずれも読切でお楽しみいただけます。


NHK「ネコメンタリー 猫も、杓子も。」に5月25日登場の澤田瞳子さん

ほかにも久しぶりにご登場いただいた平岩弓枝さんの随想「わが来し方の記」や、お馴染みの東海林さだおさん伊藤理佐さん光浦靖子さんがカナダ入国の顛末を描いた「ようやくカナダに行きまして」、そして石田衣良さんのIWGPシリーズ「ペットショップ無惨」をはじめとする大好評連載小説もどうぞ読み逃しなく!

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