●真逆のようで“真髄”が同じだった2人

テレビ朝日のチャレンジングな深夜番組が集結する「バラバラ大作戦」に、“大喜利力”でバラエティを席巻しているアイドルグループ・NMB48の渋谷凪咲(以下凪咲)と、“ルール無用のお笑い超人”とも称されるお笑い芸人・ハリウッドザコシショウ(以下ザコシ)という異色の組み合わせによる『凪咲とザコシ』(毎週火曜26:36〜)がこの春から加わった。この番組はツッコミゲストを迎え、2人が大喜利を楽しみながら散歩や食リポをしたり、突然縁のない芸能人を誇張モノマネで祝い始めたりと、予測不能な企画を自由に届ける“ゆるふわカオス”なバラエティ。

今回は収録終わりの2人に聞いた、凪咲の相方がザコシになったきっかけ、ザコシが「ある」と断言する凪咲のお笑い力、「優しくて紳士的」だと絶賛する凪咲から見たザコシの印象を、ゆるふわカオスな撮り下ろし写真と共にお届け。常に笑顔を絶やさず柔らかい言葉で語ってくれた凪咲、そんな凪咲を終始「えぇやん」と盛り上げ、優しく見守るザコシ――互いを肯定し合う温かい人柄という共通点も感じられる対談となっている。

左から渋谷凪咲、ハリウッドザコシショウ 撮影:泉山美代子

○■ケミストリー期待され、凪咲の相方がザコシに

――今日は4本撮りだったんですね。

ザコシ:本当は12本撮りと言いたいところですけどね。

――(笑)。4本でもかなりの本数です。

ザコシ:あと8本くらい楽勝ですわ。

――12本撮ろうと思うと夜中までかかってしまいそうですが、渋谷さんはついていけそうですか。

凪咲:はい、もちろんです。



――さすがです! さっそく息の合ったところを見せて頂きましたが、改めて、渋谷さんの相方にザコシさんが抜擢された背景を教えていただけますか。この番組の前身『凪咲と芸人〜マッチング〜』では、渋谷さんが芸人さんをゲストに招いて相性を探っていました。

凪咲:たくさんの芸人さんに来ていただきましたが、最後に来ていただいたシュー太郎さんが……、あ、私はザコシショウさんを「シュシュシュのシュー太郎さん」と呼んでいるんですけど。

――ザコシさんのギャグにちなんで、渋谷さんが番組内でつけられたニックネームですね。

ザコシ:あだ名があると親近感も湧くということでね。あだ名で呼んでいただけてうれしいです。

凪咲:一番マッチングしたのがシュー太郎さんでした。相性にも色々な視点がありますが、私たちは全く真逆のように見えて、真髄が同じだったんです。

ザコシ:そうなんですよ。

凪咲:化学反応が楽しめるんじゃないかと、番組として未来が見えたマッチングでした。

ザコシ:まぁ、だからケミストリーですよね。

――「化学反応」つまり「ケミストリー」。

ザコシ:堂珍と川畑です。

――そっちのケミストリーですか!?

ザコシ:僕が川畑ですわ。テレレレレ〜♪ テレレレレ〜♪ テレレレレレレレレ〜♪

凪咲:ケミストリーですね〜。



○■「まっすぐ」「筋が通っている」という共通点

――バディ誕生のきっかけになった放送では、渋谷さんの仕事への誠実な思いを聞いてザコシさんから「あっぱれ」という称賛が飛び出したり、ザコシさんからも「自分の正義を貫くことの大切さ」「皆と同じになったら終わり」という金言を聞くことができたりと、熱いトークが印象的でした。そんな2人の共通点を教えてください。

凪咲:自分のやりたいことを実現するために、まわりに流されず突っ走る力、でしょうか。

ザコシ:えぇこと言うでしょ。この歳でなかなか言えないですよ。本当にまっすぐなんです。長年アイドルをやっていると「人気が出るからこうしよう」となりがちなところを、渋谷さんはちゃんと自分のやりたいことをやっている。僕のモットーと通じるものを感じます。

凪咲:ゲストに来てくださったときのトークでは、こんなに話してくださるんだと驚きました。貴重なお話が聞けてすごくうれしかったです。

ザコシ:相手の出方によりますよね。皮をかぶっているような方には僕も本音で話したくないのですが、裸一貫で来てくれる方には、裸一貫でぶつかります。

凪咲:筋が通っているんです。

――その包み隠さない誠実さがお2人の共通点かもしれませんね。

ザコシ:でさぁね〜。

●ザコシも認める凪咲のお笑い力

○■互いのためにならない絡みはしたくない

――(笑)。そもそも、渋谷さんはザコシさんにお会いするまでどんな印象を持っていましたか。

凪咲:芸人の皆さんが認める天才。もうとにかくすごい方だという印象があったので、最初にご一緒するときもめっちゃ緊張しました。何を考えているかも分からないし、ミステリーだったんですよ。

ザコシ:ミステリーサークルですわ。

凪咲:失礼なことを言いたくないなと不安な気持ちがありましたが、そんな心配をすぐに洗い流してくださって。話せば話すほど、こんなこと言っていいか分からないですけど……めちゃくちゃ優しくて紳士的で。

ザコシ:(爆笑)。……おいおーい! 言うな言うな!





――きっと渋谷さんのファンの方もどんな絡みになるのかドキドキしていたと思うのですが、ザコシさんの優しさに安心されたのでは。

凪咲:ファンの方のことも気にしてくださって、「そんな発言はあかん!」と逆に止めてくださることもあります。

ザコシ:お互いのためにならないような絡みはしたくないじゃないですか。まぁ、あまり考えずに自然体でやっていますけどね。

○■凪咲は“オギカジ”の最先端

――そんなザコシさんから見て、渋谷さんの「お笑い力」はいかがですか。

ザコシ:お笑い力、あるよ。ミュージシャンやアイドルがお笑いをやると言うと、いい意味でハードルが低くなるんです。だけど渋谷さんはそこから芸人を優に超えていく。めっちゃえぇよ。

凪咲:うれしい〜!

ザコシ:番組でも渋谷さんが「大喜利をやりましょう」と振ってくれるけど、それがうらやましくもある。芸人が自分から「大喜利やりましょう」と言うとハードルがすごく上がってしまって、自分からすべりに行く感じになっちゃいますから。誘ってくれてありがたいし、僕も本当はもっと大喜利をやりたいんですよね。





――カジュアルにやりたいところを、なかなかザコシさんほどの方になると言い出しにくいと。

ザコシ:そう、カジュアルにやりたい。“オギカジ”やね。大喜利カジュアル。

――流行りそうですね(笑)。渋谷さんは今正にオギカジの最先端では。

凪咲:確かに、カジュアルにやりたいですよね。「面白いことしまっせ!」とハードルを上げるよりも、気軽に数を打って、その中で面白いことが生まれればいいと思います。

ザコシ:めちゃくちゃえぇやん。すべってもいいから、まずは、やる。面白いところだけ番組側がつまめばいいんだし。

凪咲:シュー太郎さんを見ていて私もこう考えるようになれたんです。今までは「ハードルが」とかいろんなことを気にしてがんじがらめになっていたところもあって。それよりも好きなことややりたいことを素直にやって、面白くなったところを使っていただいたほうが皆幸せやんって。

●下ネタは『コロコロコミック』風に

○■ザコシはいつも「えぇやん」と勇気をくれる

――その一方カジュアルと言いながらも、ザコシさんは『R-1グランプリ』の審査員を務めるほどの大御所芸人です。渋谷さんは、ザコシさんとお笑いでぶつかっていくことへの緊張感はありますか。

ザコシ:審査員とか言わなくていい!(笑)大したことないんですよ、あんなもんシュシュッとやってるだけですから。

凪咲:審査もされていて、いろんな経験を積まれているからこそ、皆の気持ちが分かるめっちゃ優しい方なんです。できない人にも寄り添って包み込んでくれるし、どんなときも「えぇやんえぇやん」って言って勇気をくれる。私たちは戦っているわけじゃない、心の中では腕を組んでロケをしているくらい、楽しんでやらせてもらっています。

ザコシ:そう! ドラクエで言うパーティーの仲間です。一緒に敵を倒して、その経験値を渋谷さんも僕ももらえるという。







――共に笑いを生み出す温かい関係なんですね。仲間として、これからどんな番組を作っていきたいですか。

凪咲:自分の番組だから、自分が一番輝ける場所だったらいいなと思いますし、その姿を見た視聴者の方にも笑っていただきたい。誰かにとって、1週間の中の、ご褒美のような楽しみの1つになれたらいいな……伝わりますか?(笑)

ザコシ:伝わる伝わる! えぇこと言うよね、ほんと。疲れて帰ってきた、会社ではキツく言われた、「あーあやってられねーなー」ってテレビをつけたときに『凪咲とザコシ』がやっていて、自然に笑える。そういう番組にしたいよね。あとは自分たちの番組ですから、「自分たちのやりたいことをやる」という思いは大事にしていきたいです。

――ザコシさんは、渋谷さんとどんなパーティーを作っていきたいですか。

ザコシ:渋谷さんは僕にないものを補ってくれているし、渋谷さんが困っていたら助けたいですね。2人の番組ですから、2人で1つです。

――優しさの塊ですね。

凪咲:ほんとに。

ザコシ:おいおいおい〜! あんま言うなよ〜!







○■下ネタもオブラートに包んで愉快な言葉に

――ザコシさんからは、下ネタというジャンルではないかもしれませんが、そういったニュアンスのギャグやトークも飛び出すことがあります。アイドルである渋谷さんにとって、その返しは難しいものでしょうか。第1回放送でも、乗るところには乗りながら、突然「そういうのやめてください!」と突っぱねるラインが絶妙でしたが……。

凪咲:シュー太郎さんが言うと、下ネタというよりちょっと“愉快な言葉”になるじゃないですか。だから「うわっ! いややな!」と感じず楽しめているんだと思います。

ザコシ:僕としても直接的なことは言いたくないし、ある程度オブラートには包むようにしている。下ネタは下ネタでも、青年誌じゃなくて『コロコロコミック』なんですよね。小学生向けコミックのようなものにして、「あらやだ!」って思われないようにしているつもりなんだけど……どうやろ。

凪咲:そうですそうです。

ザコシ:あと渋谷さんは返しが上手いんですよ。自分の言葉でパッと出せて。天然でもないし、なんだろう、絶妙だよね。スローなテンポやから、ふっと場が和んで、笑ってしまうんです。

――最後に、この番組の目標を教えてください。

凪咲:自分たちのしたいことをしながらも、この番組が好きだというファンの方をたくさん増やして、次の「バラバラ大選挙」があったら、そこで「スーパーバラバラ大作戦」の枠に昇格して、皆でやったー! って言いたいです。(「バラバラ大作戦」の中から一番面白い番組を選ぶ「バラバラ大選挙」で選ばれた番組は、時間帯の早い「スーパーバラバラ大作戦」に昇格できる可能性がある)

ザコシ:“スーパー”ってつくとすごくいいよね。ファミコンとスーパーファミコンの違いですわ。ファミコンからスーパーファミコン目指して!













■渋谷凪咲

1996年8月25日生まれ、大阪府出身。NMB48のメンバー。2012年、NMB48の 4期研究生としてデビュー。『大阪ほんわかテレビ』、『かまいたちの机上の空論城』、『発見!仰天!!プレミアもん!!! 土曜はダメよ!』、『ごきげんライフスタイル よ〜いドン!』など関西の情報バラエティ番組で多数レギュラーを持ち、全国区の番組でも大喜利を披露するなど活躍中。2021年にはYouTubeチャンネル『なぎちゃんネル』を開設した。

■ハリウッドザコシショウ

1974年2月13日生まれ、静岡県出身。Sony Music Artists所属。1992年、大阪NSCに11期生として入学。コンビ「G★MENS」として活動後、ピン芸人に。初回から出演した『あらびき団』で脚光を浴び、2014年には「あら-1グランプリ」に輝く。2016年には『R-1ぐらんぷり』を制覇し、2021年、2022年の同大会では審査員を務めた。2018年には『ドキュメンタル』シーズン5で初出場にして優勝を果たし、2019年のシーズン7では史上初の連続優勝を達成。2009年にはYouTubeチャンネル『ザコシの動画でポン!』を開設し、連日更新している。