先発し3勝目を挙げた阪神・青柳晃洋【写真:荒川祐史】

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青柳は2失点完投で無傷の3連勝「『最後まで俺が投げる』という表情を見せていた」

■阪神 3ー2 巨人(29日・東京ドーム)

 阪神の青柳晃洋投手は29日、敵地での巨人戦に先発し、9回6安打2失点の力投を見せ今季3勝目をマークした。チームの4連勝に貢献した右腕を、現役時代にヤクルト、阪神など4球団で21年間捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏は「これぞ本物のエースの姿。チームもようやく底を抜け出した」と、復調の気配を感じ取っていた。

 チームに勢いを与える力投だった。5回は1死一、三塁から若林の一ゴロの間に1点を失ったが、リードを守る安定感抜群の内容。9回に岡本和にソロを浴びたが、冷静に後続を打ち取り無傷の3連勝を飾った。チームを4連勝に導いた投球もさることながら、野口氏は終盤でのベンチの姿に注目した。

「7回を投げ終わった後でも、終わりだなという感じがなかった。『最後まで俺が投げる』という表情を見せていた。その姿はまさにエースそのものでした。西勇輝と2人でエースという称号を奪い合っていけばいい」

下位打線の奮起は必要「梅野あたりが調子を取り戻せば、打線に繋がりが生まれてくる」

 24日のヤクルト戦(神宮)からガンケル、西勇、秋山と先発投手に白星が付いたことも大きい。これまで苦しんでいた投手陣に安定感が増し「チームは一時の底から抜け出したと見ていいのでないでしょうか」と語る。

 この日は3試合ぶりに復帰した4番・大山が8回に貴重なソロを放つなど2安打1打点。“5月反攻”に向け役者も徐々に揃ってきただけに「そこは十分に可能だと思います」と期待を寄せる。ただ、この試合では小幡、梅野がチャンスで凡退する場面もあり「下位打線の奮起はもう少し必要。梅野あたりが調子を取り戻せば、打線に繋がりが生まれてくるはずです」とポイントもあげる。

 チームは4連勝を飾ったが、借金は「12」。2勝1敗ペースで行ったとしても、借金返済まではあと12カードが必要になってくる。新型コロナで離脱した伊藤将、藤浪らの復帰が待ち遠しいが「あとは先発陣の体制が整えば腰を据えて戦うことは可能です。右肘の違和感で離脱した小川は痛いが、(1軍で先発予定の)西純矢などはチャンス。若い力も出てくれば面白くなる」と口にする。

 3、4月は苦しい戦いが続いたが、ようやく本来の姿を取り戻しつつあるタイガース。エース・青柳の快投で勢いに乗ったチームが“5月反攻”を実現させ、セ・リーグの戦いを熱くする。(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)