先週末開催されたアカデミー賞授賞式。ウィル・スミスがプレゼンターのクリス・ロックのジョークに怒り、彼を平手打ちするという前代未聞の事件が起きた。ウィルはクリスが妻のジェイダ・ピンケット・スミスの坊主頭をジョークのネタにしたことが許せなかったと翌日発表した声明の中で説明している。ジェイダは脱毛症と闘っていて、坊主頭にしているのもそのためだった。

この事件についてアカデミー賞を主催する映画芸術科学アカデミーが声明を発表した。「事態は私たちが予想もしなかった形で展開した。我々はスミス氏に授賞式から退席するように求めたが、彼がそれを拒否したことを明らかにしたい。その一方で我々はあの状況を違った形で処理することもできたと認識している」。マスコミや他の俳優、視聴者からは、アカデミーが暴力行為を働いたウィルを即刻退席させなかったことに疑問の声も上がっていた。ちなみに英国アカデミー賞(BAFTA)を主催する英国映画テレビ芸術アカデミーも雑誌『ハリウッドリポーター』のオンライン版に「BAFTAの授賞式で同じ事件が起きたらウィル・スミスを退席させる。その後ステージで賞を受け取ることは許可しない」とコメント、アカデミーの対応を批判していた。アカデミーは今回の声明でこれらの批判に対して、自分たちは対応措置を取ったと釈明している。

さらにアカデミーは「我々の理事会は本日、スミス氏に対して不適切な身体的接触、罵倒または脅迫行為、アカデミーの品位を損なう行為などアカデミーの行動基準に違反したとして懲戒手続きを開始した」「我々の行動基準とカリフォルニアの州法に基づき、スミス氏には少なくとも15日前に違反行為と制裁措置に関する投票を行うことを通知する。事前に回答書で意見を言う機会が与えられる」。次の理事会は現地時間4月18日(月)に行われるが、そこではウィルに対して「資格の停止や除名、行動基準と細則で認められたその他の制裁を含むあらゆる懲戒処分を下すことが可能」とも。

アカデミーは声明の最後でクリスに謝罪している。「スミス氏の行動は直接、またはテレビを通して目撃した人々に強い衝撃を与えトラウマをもたらした。ロック氏へ、あなたが我々のステージで経験したことを謝罪し、あのときあなたが素早く回復したことに感謝したい」とコメント。クリスがウィルの行動に取り乱したり怒ったりせずに授賞式を進行させたことは一部の出席者や視聴者からも評価されている。アカデミーは他の候補者や招待客、視聴者にも「本来であればお祝いであった行事がこのような事態になったことをお詫びする」。アカデミーがどのような決定を下すのか、続報に注目したい。