報告書に掲載された恵山市の処刑場所(転換期正義ワーキンググループ提供)=(聯合ニュース)≪転載・転用禁止≫

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【ソウル聯合ニュース】韓国の人権団体「転換期正義ワーキンググループ」は15日に公開した報告書「金正恩期の処刑マッピング」で、北朝鮮当局が国際社会の監視を避けるため、公開処刑を国境から遠く離れた場所で行っていると分析した。

 報告書は1956年から2018年にかけ、北朝鮮で処刑が行われた場所に関する脱北者の証言計442件を分析。この中で、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党総書記)の就任以前と以降を比べるため、中朝国境地域の両江道恵山市で行われた処刑に注目した。恵山市は新型コロナウイルスの防疫措置で国境を封鎖する前まで中国との貿易・交流が活発だったのに加え、脱北が頻繁に発生するため、他地域より多い証言を得られた。報告書は1961年から2011年12月まで、恵山市で処刑が行われた76件を、金正恩政権期の10件と比べた。

 過去には国境付近の川の土手や恵山市の都心部で公開処刑が行われたという証言があったが、金正恩政権期にはこの場所で公開処刑が行われたという証言はなかった。

 金正恩政権期、恵山市で行われた公開処刑の大多数は国境と都心部から遠く離れた恵山飛行場やその周辺の丘や野原などで行われた。

 報告書は「国境を通じ、北の外に処刑の実態に関する情報が流出しないよう、北の当局が処刑場所を戦略的に選んでいる」と推定した。

 2005年、国境から近い咸鏡北道会寧市で撮影された公開処刑の動画が公開され、北朝鮮に対する国際社会の監視が強化されてから、北朝鮮が慎重になっているとの見方を示した。