スマートフォン向けSoCのSnapdragonシリーズで知られるQualcommが、高音質コーデック「aptX Lossless」を発表しました。aptX LosslessはQualcommの次世代ワイヤレスオーディオ技術「Snapdragon Sound」の一環として提供され、対応した機器同士を接続することでCD音質の音楽を無劣化でワイヤレス再生することが可能になる予定です。

Qualcomm adds Bluetooth Lossless Audio Technology to Snapdragon Sound | Qualcomm

https://www.qualcomm.com/news/releases/2021/09/01/qualcomm-adds-bluetooth-lossless-audio-technology-snapdragon-sound

Qualcommが2021年3月に発表した次世代ワイヤレスオーディオ技術・Snapdragon SoundはQualcomm製のSoCや音声コーデック「aptX Adaptive」と組み合わせることで、最大24bit/96kHzのHi-Fi音質でのワイヤレス再生を可能にするものです。ただ「最大24bit/96kHz」といっても音声データは圧縮された状態で伝送されるため、音質の劣化は避けられませんでした。今回発表されたaptX LosslessはaptX Adaptiveを拡張するもので、CD音質(16bit/44.1kHz)までの音声を無劣化で伝送可能になります。

Qualcommが高品質&低遅延の次世代ワイヤレスオーディオ技術「Snapdragon Sound」を発表 - GIGAZINE



音声を無劣化で伝送すると通信量が増加しますが、QualcommによるとaptX LosslessではBluetooth技術「Qualcomm Bluetooth High Speed Link」を活用することで毎秒1メガビットの大容量通信を実現するとのこと。加えて、電波が混雑している状況では自動的に通信量を毎秒140キロビットに制限することで、途切れることのない音楽再生を実現するとしています。

発表の中で明かされたaptX Losslessの仕様は以下の通り。

・CD音質(16bit/44.1kHz)のロスレス再生をサポート

・Qualcomm Bluetooth High Speed Linkに基づいたCDロスレス品質へのスケールアップ

・ユーザーはCD音質(16bit/44.1kHz)か圧縮された高ビットレート(24bit/96kHz)音質を選択可能

・音源がロスレスオーディオの場合は自動的にCD音質のロスレス再生を有効化

・最大ビットレートは1Mbps

Qualcommのゼネラルマネージャーを務めるジェームズ・チャップマン氏は「2021年の調査では、調査対象の半数以上がロスレスもしくは高音質な音楽再生を求めており、64%がロスレスオーディオへの対応状況がワイヤレスイヤホンの購入に影響を与えると回答しています」「これまでのところ、ロスレスオーディオはスマートフォン・タブレット・PCなどの出力機器側でのみ対応されています。イヤホンやヘッドホンでもロスレスオーディオをサポートすることにより、アーティストが意図したサウンドをユーザーに届けることが可能になります」と述べています。

aptX Losslessに対応した機器は2021年後半に登場予定とのこと。テクノロジー関連メディア・The Vergeは、Apple Musicがロスレスオーディオに対応に対応したことやAmazonのロスレスオーディオ配信サービス「Amazon Music HD」が追加料金なしで利用可能になったことを挙げて、「aptX Losslessは、ロスレスオーディオが直面している『ワイヤレス再生』という課題を解決する可能性があります」と指摘しています。