AirTagは「重大紛失」から生活の破壊を防ぐ「お守り」となる! アップルだから効果があがるわけとは

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●アップルが忘れものを防ぐ! スマートタグ「AirTag」
アップルは4月30日、紛失防止タグ(スマートタグ)「AirTag」を発売しました。価格は1個3,800円、4個セットで12,800円です。

スマートタグとは、Bluetoothなどの近距離通信によってスマートフォンなどと接続し、対象物が近くにあることを知らせたり、万が一電波が届かない距離まで離れた場合はアラームなどで通知してくれたりする小型の「電子タグ」です。
これまでの製品では鍵や財布の紛失防止に利用されることが多く、そのデザインもキーホルダータイプからカードタイプまで、用途に応じてさまざまなアイテムが提供されています。

スマートタグは、対象物の検知をする仕組み上、スマートフォンなどに搭載されたBluetoothを使用する製品やサービスが多く登場しています。

「AirTag」は、Apple純正のスマートタグ製品として初となります。
サイズは直系1インチ(約3センチ)程度の円形で、重量は11g。
小型・軽量ながらもスピーカーを内蔵しており、スマートフォンから距離が離れた場合などにアラームが鳴る仕組みです。

IEC規格60529にもとづくIP67等級の防水・防塵にも対応。
電源はボタン電池式(CR2032を使用)。
電池は交換が可能で、1回の交換で1年間利用できます。

アクセサリーとして、純正およびサードパーティ製のキーリングやバッグチャームなどが用意されており、ファッションブランド「エルメス」とのコラボ製品もあります。


通常のアクセサリーは4,000円前後だが、エルメスコラボ製品は4万円前後となかなかのお値段



●アップルだから可能にした超精密な位置測定
AirTagの最大の特徴は、高い位置測定技術です。

前述のように、スマートタグ製品はBluetooth通信などによってスマートフォンとの距離や位置を特定します。

最近の製品ではスマートフォンに内蔵されたGPSやWi-Fi情報などから高い制度で位置測定を行っていますが、AirTagはさらに自分のスマートフォンだけではなく、近くにある第三者のiPhoneなどを利用します。

自分のスマートフォンだけではなく、周囲にいる人々のスマートフォンを利用することで位置情報の精度を上げる手法は、
スマートフォンのOSからハードウェアまで一貫して生産・提供しているアップルのメリットを最大に活かした方法といえます。

しかしながら、こうした手法は、
プライバシーや個人情報が第三者に漏えいするのではないか?
このような懸念も生まれます。

この点についてアップルは
「(位置特定の)プロセスは完全に匿名で行われ、情報は暗号化されている。他人が通信情報や位置情報を覗くことも、通信自体を把握することもできない」
このように説明しており、利便性を追求しつつも安全面への取り組みを忘れない姿勢を示しています。


高い安全性を確保しつつ、高精度な位置測定を行う


AirTagでの位置情報の確認には、アップルの「探す」アプリが用いられます。
「探す」アプリは、これまでiPhoneやiPadなどの紛失や盗難など、本体を探す際に長年利用されてきたアプリです。その長年利用されてきたノウハウがAirTagにも活かされています。

AirTagを使用する際は、利用開始時に手元のiPhoneやiPadとペアリング作業を行うことで個人の所有物として登録します。この手順もアップル製品らしく、非常に簡単で、手元のiPhoneなどに近づけるだけで行えます。

AirTagとのペアリングは基本的にiPhoneなどのアップル製品としか行なえませんが、紛失時の探索はAndroidスマートフォンでも可能となっています。
AirTagは紛失時(通信途絶時)に「Lostモード(紛失モード)」に切り替わります。
このモードでは、近接無線通信機能である「NFC」を搭載したスマートフォンでAirTagのメッセージを読み取ることができる点が、かなり便利なポイントです。

AirTagを拾得した人がNFC搭載スマートフォンを持っていれば、AirTagのメッセージを簡単に取り込めるので、持ち主の連絡先への連絡を取ることが可能になるからです。


超広帯域近距離無線通信(UWB)に対応した端末があれば、さらに精密な位置特定が可能になる



●日常に潜む不安を取り除く「デジタルお守り」として
私たちは、案外日常生活で物を紛失したり、見失ったりします。
「ボールペンどこだっけ?」
こうした些細なものであれば良いのですが、
「家の鍵が見つからない……」
「家に帰ったら財布がない!」
このように重要なアイテムを紛失・見失った際は、一瞬で血の気が引き、冷や汗をかき、心拍も上がり、寿命が縮む思いをすることになります。

スマートタグは物をなくさないためのものでもありますが、
「万が一なくしてしまった、見失ってしまった」
そんな事態に陥った際でも、
これまでよりも素早く探せ、見つけだせる可能性を高めることで、
生活での安全を脅かす危険という不安から開放してくれる「お守り」とも言えます。

1個3,800円という手頃な価格で、重要なアイテムの紛失、見失いという不安と危険を軽減できるとしたら、安いものと言えるかもしれません。


執筆 秋吉 健