アメリカの連邦議会が2021年4月21日に、Appleに対する反トラスト法違反の疑いについて検証する公聴会を開催しました。公聴会には、スマートトラッカー大手のTile、音楽ストリーミングサービスのSpotify、マッチングアプリを手がけるMatch Groupの幹部らが出席し、Appleに対して厳しい意見を述べたと報じられています。

Apple antitrust hearing: Tile likens Find My network to a 'hostage' program, App Store scam apps, more - 9to5Mac

https://9to5mac.com/2021/04/21/apple-antitrust-hearing-tile-spotify-more/

U.S. senators question Apple and Google on app store dominance | Reuters

https://www.reuters.com/article/tech-antitrust-klobuchar/update-1-top-antitrust-us-senator-to-examine-apples-airtag-announcement-idUSL1N2ME1YG



Congress is diving into the App Store fight - The Verge

https://www.theverge.com/2021/4/21/22396544/apple-app-store-google-play-monopoly-antitrust-bill-hearings

Apple Accused of ‘Power Grab’ at Senate Hearing on App Stores - Bloomberg

https://www.bloomberg.com/news/articles/2021-04-21/spotify-match-tell-senate-apple-is-abusing-power-in-app-store

アメリカ議会上院の反トラスト小委員会は4月21日に、「Antitrust Applied: Examining Competition in App Stores(反トラスト法の適用について:App Storeでの競争の検証)」をテーマにした公聴会を開催しました。公聴会にはエイミー・クロブシャー上院議員やマイク・リー上院議員のほか、Appleの最高コンプライアンス責任者(CCO)のカイル・アンディア氏、Tileの法務部長であるクリステン・ダル氏、Spotifyで最高法務責任者を務めるオラシオ・グティエレス氏、Match Groupの最高法務責任者(CLO)であるジャレッド・サイン氏らが出席し、質疑応答を行いました。



Appleのアンディア氏は冒頭のあいさつで、「当社のApp Storeはお客様に最高のエクスペリエンスを提供するだけでなく、アプリ開発者にも無数の機会を提供しています。また、クックCEOが以前申し上げたように、App Storeはアプリを見つけてダウンロードする上で信頼できる安全な場所となっており、アプリの流通に革命をもたらしたサービスです」と述べました。

一方、反トラスト小委員会の委員長であるクロブシャー上院議員は、「Appleは不当なゲートキーパーとしてふるまっているほか、競合他社の製品をコピーしているのではないか」との懸念を表明しました。Tileのダル氏も、Appleが4月21日のイベントで発表したばかりの「AirTag」は同社のスマートトラッカーの模倣品であるとの見方を示しました。

ダル氏はさらに、Appleの追跡アプリ「探す(Find My)」は、サードパーティー企業が製品に採用すると、ユーザーがサードパーティーのアプリでその製品を操作できなくなるという点で、GoogleのHomeアプリやAppleが以前リリースしたHomeKitとは異なっていることを指摘。Find Myが持つ非常に厳しい使用条件を、ダル氏は「人質プログラム」と述べて非難しました。

ダル氏はほかにも、AppleがU1チップの超広帯域無線(UWB)をサードパーティー企業にオープンにしていないのは不公平であり、これにより競合他社はAirTagに太刀打ちできないようにされていると述べています。



by Hideya HAMANO

このほか、かねてから音楽配信の分野でAppleと対立しているSpotifyのグティエレス氏は、App Storeがアプリ開発者を囲い込んでからAppleに有利なように突然契約条件を変更したと述べた上で、「Appleのビジネスモデルは古典的なおとり商法に等しい」と発言。Match Groupのサイン氏は、同社はApp Storeに年間5億ドル(約540億円)を支払っており、これは同社の総売上高の5分の1に相当すると述べて、App Storeの手数料の高さを訴えました。

サイン氏はまた、同社のマッチングアプリ「Tinder」に追加しようとした、「LGBTQ+のユーザーが自分のアイデンティティを公にすると危険な国を訪問した際に警告を発する機能」を、Appleが「自社の新ルールの精神に反する」としてブロックしたことを明らかにして、App Storeの審査は不透明だと述べました。

クロブシャー上院議員は今後、FacebookやGoogleなどでも同様の公聴会を開催し、両社の広告市場での優位性や競争の在り方などについて検証していくことを発表しています。