映画で使用される「血のり」など特殊メイク品製造でも有名、多くの作品で使用された

 (株)コスメティック・アイーダ(TDB企業コード:200753859、資本金9050万円、神奈川県大和市中央林間5-20-5、代表神谷文夫氏ほか1名)は、2月2日に東京地裁へ自己破産を申請し、同日保全管理命令を受けた。

 申請代理人は篠田憲明弁護士、大場寿人弁護士(東京都千代田区内幸町2-1-4、三宅坂総合法律事務所、電話03-3500-2922)ほか2名。保全管理人には嵯峨谷厳弁護士(東京都千代田区麹町3-1-7、嵯峨谷法律事務所、電話03-3261-3965)が選任された。

 当社は、1981年(昭和56年)4月に創業、84年(昭和59年)4月に法人改組した化粧品製造販売業者。植物由来の原料を使用したファンデーションなど基礎化粧品や口紅、メイクアップ化粧品を宮城県内の工場で製造。主に中・上級化粧品メーカーへのOEM供給を行う一方、プロ向け・業務用のメイクアップ商品や映画で使用される血糊や特殊メイクなども手がけていた。自社ブランド品は映画関係者、テレビ局、メイクアップアーティストの間では一定の知名度を有し、2004年3月期には年売上高約14億2900万円を計上していた。

 その後、2011年の東日本大震災で宮城県の主要工場が被災。このため、約15億円の補助金を得て同工場を復旧させるとともに、宮城本工場も新設していた。しかし、2020年3月期の年売上高は約12億6300万円にとどまり、7期連続となる営業赤字額は約4億円にのぼっていたうえ、近時は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、国内の化粧品市場が低迷、当社の売り上げも大幅に減少していた。このため、地元の再生支援協議会の手続きで私的整理を模索していたが、多額の公租公課の支払いが困難と判断し、今回の措置となった。

 負債は債権者約200名に対し約26億円。

 なお今後、当社は(株)アントレックス(東京都新宿区)の支援を受け、同社子会社への事業譲渡を目指すとしている。事業譲受会社が必要な許認可を取得するまでの間、保全管理人の管理下で事業を継続し、スポンサーへの事業譲渡を目指すとしている。