新型コロナウイルスの発生源などを調査すべくWHOのスタッフが中国の武漢に乗り入れましたが、その際に使用したとされるのが、LCCのスクートです。なぜこのような事象が発生したのでしょうか。またどのような航空会社なのでしょう。

ネット上では「まさかの……」声相次ぐ

 新型コロナウイルス感染拡大の発生源などを調査すべく、WHO(世界保健機関)の調査員たちが現地時間2020年1月14日(木)、ウイルスの発生源とされる中国・武漢に入りました。そのさい、平時ではおおよそ想像できない様子が報じられたのです。

 というのも、WHO職員が乗ってきたとしてカメラに捉えられた飛行機が、LCC(格安航空会社)だったからです。一般的には「VIP」の範囲に入るであろう、トップクラスの国際機関のスタッフがLCC機で到着……といった事態に、インターネット上では「まさかのLCC」「ある意味好感持てる」といった声が見られました。


スクートのボーイング787-9型機(画像:スクート)。

 このLCC機は、シンガポール航空傘下のスクートという航空会社のもの。WHOの調査員たちは、シンガポール経由で武漢入りされたと明らかになっています。「シンガポール〜武漢線は、スクートが週1便運航するのみとなっており、このことから異例のLCC利用が実現したのではないでしょうか」と航空事情に詳しい人物は話します。

 このスクート、ある意味LCCらしい黄色いポップなデザインの塗装が特徴ですが、日本にも乗り入れています。どういった航空会社なのでしょうか。

「スクート」ってどんなLCC?

 新型コロナ禍においても、スクートは2020年9月から、成田、関西の2地点から台湾を経由し、シンガポールまでを結ぶ便を運航再開しています。なおコロナの影響で、2021年1月現在、それぞれ週1往復です。

 特徴としては、JAL(日本航空)やANA(全日空)などの国内フルサービスキャリアにおいても有料サービスとされる国際線用機内Wi-Fiが、30MBまで無料で使える点でしょう。2020年から運航開始となったJALグループのLCC「ZIPAIR」でも同様のサービスが導入されていますが、スクートは先んじて実施していたLCCといえます。

 また、現在は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から一部変更や中止とされているものの、平時であれば食事とソフトドリンク類が1種類ずつ、無料で提供される(価格制限あり)というのもLCCでは珍しいポイントといえるでしょう(現在は事前予約の食事のみを提供)。

 なお同社は、LCCとしては大きめのボーイング787シリーズも使用しており、これには通常のエコノミークラスに加え、上位クラス「スクート プラス(plus)」が設定されています。成田〜シンガポール線に投入されている787-9型機の場合、「スクート プラス」は35席。ちなみに武漢線でも787-9を使用しています。