(株)AIプロジェクト(TDB企業コード:582700833、資本金1431万6500円、大阪市中央区瓦町4−4−7−8階、代表由岐中利彦氏、従業員35名)は、12月21日に大阪地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日監督命令および弁済禁止の保全処分の発令を受けた。

 申請代理人は北野知広弁護士(大阪市北区中之島2−3−18中之島フェスティバルタワー27階、弁護士法人大江橋法律事務所、電話06-6208-1500)ほか3名。監督委員には赫高規弁護士(大阪市中央区北浜2−5−23小寺プラザ12階、弁護士法人関西法律特許事務所、電話06-6231-3210)が選任されている。

 当社は、2003年(平成15年)1月創業、2008年(平成20年)9月に法人改組したセキュリティーシステム機器の販売およびメンテナンス業者。児童の登下校情報システム用の機器販売や同システムの運営受託を行っていた。特定非営利活動法人ツイタもんより運営受託していた児童安心見守りシステム「ツイタもん」は、児童の登下校をICタグによって記録するシステムで、大阪府をはじめ兵庫県、奈良県などの教育委員会を経由して小学校など約900校に対して導入されていた。また、同防犯システムを転用した中古車両の一括管理システムも販売するなどして受注を伸ばし、2019年3月期には年収入高約10億9400万円を計上していた。

 しかし、学校への導入時は無償で提供していたため、自社での導入実績が増加するごとに借入金が膨らみ資金繰りが悪化。今年に入ってからは新型コロナウイルス感染拡大の影響で、学校関係者との商談が進まず、2020年3月期の年収入高は約6億2300万円にまで落ち込み、営業段階から赤字を計上、約4億6000万円の大幅な債務超過に陥っていた。そのようななか、2月ごろに前社長が死去。社内体制が混乱するなか取引先に対して支払いが遅れるなどの事態が発生していた。そのため、金融機関に対しリスケを要請するなど立て直しを図っていたものの、資金流出や粉飾決算も発覚し、対外的な信用が失墜。さらに、取引先から訴訟を提起されるなど業況が悪化するなか、ここへ来て自力再生を断念し、民事再生法による再建を目指すこととなった。

 負債は2020年3月期末時点で約18億9700万円。

 なお、スポンサーのもと事業を継続し、「ツイタもん」のサービスは今後も継続していく。また、特定非営利活動法人ツイタもんは法的整理を行っていない。