金村義明の症例に学ぶ「痛風予防の食品」プリン体の基礎を伝授

痛風は足の指などに発症しやすいが、膝関節に出ることも
患者数は全国で約100万人、いまや “国民病” の痛風。健康診断では、尿酸値の正常値を「7以下」としているが、「7超え」にならないためには、何に気をつければいいのだろうか。
「現役時代は、好きなだけ食べて、酒も満足するまで飲みました。毎晩、焼き肉でも大丈夫でした。それでも体を動かしているからでしょうか、不調を感じることはなかったし、健康診断でもひっかかることはありませんでした。
タバコは、1日5〜7箱を吸うヘビースモーカー。サウナも大好きで、思い返せば、毎日のように入っていました」
そう語るのは、2009年から痛風の悩みを抱える、プロ野球解説者の金村義明さん(56)だ。しかし、引退後に環境が激変した。
「プロ野球解説者の競争は激しくて、ストレスが山盛りに溜まりました。それなのに、現役時代の不摂生な生活を、そのまま続けていたことで、体がついに悲鳴を上げたんだと思います」
金村さんは、テレビの健康番組で健診を受け、あらゆる数値が悪かったことから、医師に「余命1年」を宣告されてしまう。痛風の診療と研究を一貫しておこなってきた、山王メディカルセンターの山中寿院長は、「痛風の再発予防は、生活習慣を見直すことが大切です」と指摘する。
「痛風発作を起こしやすい方の多くは、メタボリック症候群で、過食傾向にあります。そのため、1日の適正摂取カロリーを守っていただくことを助言しています。そうすれば、尿酸値を上げるプリン体の摂取量は、それほど増えません」
痛風発作には、プリン体摂取の抑制が有効であることは、広く知られている。食事から摂取されるプリン体は、代謝されると尿酸になり、体内に蓄積されるからだ。
山中院長が責任者として編纂に関わった『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン』では、痛風患者の食事療法として、1日400mgを目安にしたプリン体の摂取制限が示されている。
「何かを食べれば、プリン体は必ず、口から体内に取り込まれます。プリン体摂取を、ゼロにすることはできません。
そのため、私は患者さんに『あれを食べてはダメ、これを食べてはダメ』とは言いません。制限しすぎると、かえって食事のバランスが崩れてしまうこともありますから」

データ提供・公益財団法人 痛風・尿酸財団(帝京大学薬学部・金子希代子教授の検査に基づく)
それでも、何も気にせず食べていいわけではない。2000人以上の栄養指導をおこなってきた管理栄養士の八木絵理奈氏に、注意点を聞いた。
「プリン体が多く含まれるのは、レバー・エビ・魚の干物など。召し上がった翌日は、プリン体含有量の低いものを摂るよう、心がけてください。
牛乳やチーズ、ヨーグルトなどの乳製品は、プリン体含有量が少ないだけでなく、尿をアルカリ性にする効果が期待できます。尿が酸性傾向になっている痛風の方には、おすすめです。最近は、尿酸値の上昇を抑える効果に特化したヨーグルトもあります。召し上がる時間は朝でも昼でも、いつでも大丈夫です」
これからの時季は、枝豆もいいそうだ。
「野菜嫌いの男性は多いと思いますが、枝豆は食物繊維が豊富で、プリン体の吸収を抑制する効果が期待できます。尿酸の排出を促すとされている、ビタミンCも多く含まれています」(同前)
枝豆とくればビールだが、痛風患者には “もってのほか” とされている。山中院長が、苦笑しながら補足する。
「たしかにビールは、もっとも尿酸値を上げるお酒のひとつですが、じつは、アルコール自体に尿酸値を上げてしまう作用があります。
よく『プリン体が入っていない焼酎は、いくら飲んでも大丈夫』といわれますが、それは “呑んべえ” の言い訳。『お酒を毎日飲む人は、痛風の危険度が2倍になる』といわれています」
このページの冒頭の図は、食品をプリン体含有量で分類したものだ。山中院長が、見方を解説する。
「この図は、100g(アルコール飲料は100ml)中のプリン体含有量を示しています。たとえば、煮干しにプリン体が多く含まれているとあります。しかし、煮干しを100g食べるのは、けっこう大変ですよね。
『1食あたりの “全プリン体含有量” を考えたほうがいい』と、患者さんにはアドバイスをしています」
そのことも踏まえて、上の図を毎日の食生活の参考にしていただきたい。
やまなかひさし
東京女子医科大学で痛風の診療と研究を一貫しておこない、現職
やぎえりな
介護施設に5年間勤務し、特定保健指導の管理栄養士に。「我慢しない食事で、あなたのいきいき、長生きをかなえる」がモットー。「えいようJoin」登録者
(週刊FLASH 2020年6月2日号)
