ARMプロセッサを搭載したシングルボードコンピューターの「Raspberry Pi」から、わずか50ドル(約5400円)で購入できる高品質カメラモジュールの「High Quality Camera」が発表されました。このカメラモジュールにはソニー製の12.3メガピクセルセンサーであるIMX477が採用されており、CマウントおよびCSマウントのカメラレンズを装着することが可能です。

New product: Raspberry Pi High Quality Camera on sale now at $50 - Raspberry Pi

https://www.raspberrypi.org/blog/new-product-raspberry-pi-high-quality-camera-on-sale-now-at-50/

Raspberry Piブランドから高品質カメラモジュールの「High Quality Camera」が発表されました。モジュールの詳細は以下のムービーを見ればわかります。

NEW Raspberry Pi High Quality Camera - YouTube

High Quality Camera



High Quality CameraはソニーのIMX477センサーを採用しており、イメージサイズは対角7.9mm。なお、正確にはIMX477のイメージサイズは対角7.857mm(1/2.3インチ)で、12.3メガピクセルのCMOSイメージセンサーを採用しています。



バックフォーカスの調整が可能な交換レンズを使用することができます。



レンズマウントはCマウントおよびCSマウントに対応。



当然ですが、Raspberry Pi向けのカメラモジュールです。



CマウントおよびCSマウントレンズを装着する場合は、レンズ用アダプターを使用する必要アリ。レンズ用アダプターには焦点を合わせるためのリングと三脚用の穴もあります。



なお、CマウントとCSマウントのレンズを装着する詳細な方法がそれぞれのガイドラインに記されています。

HQ Cam Lens Diagrams - 16 mm C-mount lens

(PDF)https://static.raspberrypi.org/files/product-guides/Typical_C-Mount_Lens_Guide.pdf

HQ Cam Lens Diagrams - 6 mm CS-mount lens

(PDF)https://static.raspberrypi.org/files/product-guides/Typical_CS-Mount_Lens_Guide.pdf

Raspberry Piの公式ブログ上には実際にHigh Quality Cameraを使用して撮影した写真が掲載されています。



Raspberry Pi財団で上級主席エンジニアとして働くサイモン・マーティン氏はブログの中で、「Raspberry Piではこれまでハッカーとカメラの間に大きなつながりが存在しました。2012年にはRaspberry Piのシングルボードコンピューターを使用して、デジタル一眼レフカメラからより多くの機能を引き出す興味深い方法が提案されました。そして2013年にはRaspberry Piと直結できるカメラモジュールのOV5647が登場。その後、赤外線感度センサーを備えたNoIR Cameraが登場し、望遠鏡に取り付けたりドローンに取り付けて植物の成長を観察したりするのに使用されました」と語り、カメラとRaspberry Piのつながりについて語っています。

しかし、OV5647は2015年に販売が終了となりました。その代替品として2016年4月に登場したのがCamera Module V2で、これはソニーの8メガピクセルイメージセンサーであるIMX219を採用したカメラモジュールです。マーティン氏がCamera Module V2の売上を調査したところ、記事作成時点までの累計販売数は170万個以上であることが明らかになったとのこと。

大ヒットとなったCamera Module V2ですが、センサーサイズが小さいため微光性能が低くなる傾向にあります。また、高価なカメラレンズを資産に持つユーザーが一眼レフカメラのように撮影時に使用するレンズを変えながら被写体を撮影することはできません。そのため、High Quality CameraではCamera Module V2の弱点を補う形でセンサーサイズを大きくし、CマウントおよびCSマウントに対応したとのこと。

以下の写真はCamera Module V2でRaspberry Pi 4を撮影したもの。問題なく撮影できていますが全体的に薄暗く、マイコンボード上の細かな文字を拡大するとぼやけてしまっているのがわかります。



同じRaspberry Pi 4をHigh Quality Cameraで撮影すると、全体がかなり明るくなり、ボード上の数字や「Raspberry Pi 4」の文字もハッキリ識別可能です。



Camera Module V2はレンズが一体となったカメラモジュールでしたが、High Quality Cameraはレンズが付属しておらず、CマウントおよびCSマウントの市販のカメラレンズを装着可能です。また、専用カメラレンズとして6mmの広角CSマウントレンズが25ドル(約2700円)、16mmの望遠Cマウントレンズが50ドル(約5400円)で販売されています。なお、High Quality Cameraに対応しているのは2012年2月15日に発売されたRaspberry Pi Model B以降のモデルほぼすべてだそうです。



テクノロジーレビューサイトのTom's HardwareはHigh Quality Cameraを「優れた柔軟性と解像度によりHigh Quality Cameraは勝者となった」と評しています。

Raspberry Pi High Quality Camera Review: Interchangeable Lenses, Powerful Sensor | Tom's Hardware

https://www.tomshardware.com/reviews/raspberry-pi-high-quality-camera



Tom's HardwareはHigh Quality Cameraの優れた点として、「交換式レンズに対応することで優れた柔軟性を提供している点」「三脚穴によりもたらされる優れた安定性」「Raspberry Piのモデルに関係なく使用できる点」の3つを挙げ、マイナス点としては「ソフトウェアが開発中である点」「レンズが含まれていない点」「レンズを合わせると高価になる点」の3つを挙げています。

High Quality Cameraは以下のページから購入可能で、価格は50ドル。また、High Quality Cameraの詳細な取り扱い方法が書かれたカメラガイドがPDF形式で無料公開されています。

Buy a Raspberry Pi High Quality Camera - Raspberry Pi