ボルダリングの超基礎ダイヤゴナルをマスターしよう!
ただ登るだけでなく、ボルダリングにはさまざまな技(ムーブ)があり、それらを駆使して難しいコースをクリアしていきます。中でも超基礎であるダイアゴナルは、必ずマスターしておいた方がいいムーブです。
しかし意外と理解しづらく、
「いまいちわからないのですが、これで合ってます?」
「どういう時に使うんですか?」
などといった質問をよく受けます。
そこで今回は、超基礎技であるダイアゴナルをわかりやすく解説していきたいと思います。
ダイアゴナルとは?
ダイアゴナルとは、目標のホールドに手を伸ばしながら、同時に反対の足を伸ばしてバランスを保ちつつ、次のホールドを取っていくムーブです。例えば、右側にあるホールドを右手で取りに行くとします。そのときに左足を反対方向に大きく伸ばし、バランスを取りながら右側のホールドを取ります。
ちなみに英語でダイアゴナルは「対角」という意味を表し、まさに意味通り体で対角線を作るイメージです。
ダイアゴナルのやり方
例として、右側にあるホールドを取る設定にします。
まず腰を内側に捻りながら、左足を斜め下45度ぐらいに開きます。その後右手を取りたいホールドに伸ばします。
ポイントとしては、腰を内側に捻るときに右膝も内側に捻りましょう。こうすることによって腕を伸ばしながら体を壁に近づけることができ、体力消耗を軽減してくれます。
ダイアゴナルをやる上で、カウンターバランスというボルダリング用語も一緒に押さえておきましょう。
カウンターバランスについて
基本的にボルダリングでは、壁の上でバランスを取るために重心を常に体の中心に置く必要があります。
例えば、足の移動を怠り、重心が左手足にあるとします。この状態ですと、扉が開くように体が左側に流されバランスを崩してしまいます。そこでカウンターバランスといって、手を横に動かした時に重心がその方向に行かないために、反対側(カウンー)の足を反対方向に伸ばし、重心を体の中心に保つことができます。
すなわちダイアゴナルという技は、常にカウンターバランスを意識して行う基本ムーブなのです!
実際カウンターバランスを体感
カウンターバランスがどういったものなのか体感するために、両手が伸ばせる広いスペースを用意してください。そこで足を閉じ、両腕を伸ばし、体でTの字を作ってみてください。その後左右どちらでも良いので(仮に右側に伸ばす)その方向に思いっきり伸ばしてください。その時に両足は地面についたままの状態でお願いします。そうすると少しだけ右側に手を伸ばせたと思いますが、体が引っかかる感覚を感じられたはずです。
そこで次に伸ばしている方の手(この場合右手)とは反対の足(左足)を、反対方向に伸ばしてみましょう。そうすると両足を閉じていたときよりも右手がより遠くまで右方向に伸ばせたかと思います。
体の軸に対して、手足で対角線を垂直にして保つほど、より長い距離を出しながらバランスを保つことができます。
ダイアゴナルの反対のムーブ、正体とは?
正体とは、ガニ股になり、取りたい方のホールドと同サイドの足を高めに上げて、次のホールドを取りに行くムーブです。
ダイアゴナルとの違いは、軸足(ホールドを踏んでいる方の足)の膝を内側ではなく、外側に開いてホールドを取りに行く点です。またダイアゴナルが腰の捻りでムーブを起こすのに対して、正体は体を上下に振り、腕の反動で次のホールドを取ります。すなわちダイアゴナルよりもパワーを使いますが、素早く動くことができます。
正体をマスターすると、応用技であるランジやダブルダイノといったムーブがしやすくなるので、ダイアゴナルと並ぶ超基礎ムーブである正体も一緒に覚えておきましょう!
どの壁で使われるか?
ダイアゴナルはどの壁でも使うことができ、さらにいうとどんなコースでも無意識のうちに使っているほどです。
中でも腕のリーチがもろに出やすく、バランスが崩れやすい緩傾斜や垂壁、スラブといった壁でさらに効果を発揮します。ルーフのような傾斜になると、ダイアゴナルよりもヒールフックやトゥーフックなどのムーブがよく使われているため、使用頻度は緩傾斜よりも下がります。
どんなムーブのときに発揮するのか?
「いつ使っていいのかわからない」
という声を多く聞きますが、特に横斜め45度に大きく移動するときに使われるムーブです。縦移動のときにも使うことができ、かなり万能なムーブと言えるでしょう。
ダイアゴナルのメリット
【体力温存できる】
正体のムーブと違い、足で踏ん張って勢いをつけるというよりは、体の捻りを上手く利用して動くのがダイアゴナルです。体を捻ることにより、常に壁に近づきながら腕を伸ばすことができるので、前腕がパンプしたりすることが少なくなるはずです。
慣れてくると 「ここのパートはダイアゴナルが最適ムーブ!」 というようにわかっていくので、オブザベーション時にどのポイントで休憩できるか予想を立てられます。
【安定したポジションを保てる】
ダイアゴナルをしたときに、伸ばしている方の手と反対の足を壁に強く押し当てることにより、安定したポジショニングが取れます。ちなみに壁に足を当ててバランスを取ったり壁をスタンスとして踏んだりするムーブをスメアリングと呼びます。
より安定するためのイメージとして、スメアリングで壁を押し、スメアリングをしている方の手(ホールドを取りに行く手とは逆手)で反対に引っ張るとなお良いです。
【女性でも簡単にできる】
ダイアゴナルは、ボルダリングのムーブの中でも力を使う必要があまりないものになるので、女性でも簡単にマスターすることができます。さらにいうと腕の力よりも体の使い方とバランス感覚の方が重要なので、女性の方が男性よりも先にマスターすることがよくあるのです。
男性のビギナークライマーは腕の力に頼ってしまい、動きがぎこちなっているのをよく見かけるので、腕にあまり力を入れずに(特に手のひら)リラックスしてダイアゴナルに挑戦してみましょう。
ダイアゴナルのデメリット
【ダイナミックなムーブには不向き】
最初の初中級ぐらいのコース(6級から3、4級)だとあまり気にする必要はありませんが、上級者向けのコース(1、2級)になると距離を出すムーブが必要になってきます。
そのときにダイアゴナルは膝を内側に捻ってしまうので、屈伸運動を最大限に活かすことができません。正体だと力はダイアゴナルより使いますが、屈伸運動がよく使えるため長い距離を出すムーブに向いています。
またランジやダブルダイノのような両手を離して次のホールドを取りにいくムーブにもあまり向いていません。それは、体を大きく振り子運動して飛び出すときに膝を内側に捻ると、動きの連動性に欠き、上手く反動を伝えらえなくなるためです。
【使いすぎて他のムーブができなくなる】
ダイアゴナルは力があまり必要なく、いつでも使える万能ムーブなため、使いすぎて正体ベースのムーブ(ランジやフラッキングなど)が不得意になるという女性をたまに見かけます。だからダイアゴナルに頼り過ぎず、正体ムーブも均等に使っていきましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか?
ダイアゴナルの基本的な動き方とコツがわかったかと思います。またカウンターバランスを理解することで、よりダイアゴナルの精度が上がります。
ダイアゴナルは超基礎にはなりますが、上手く説明できるクライマーは意外と少ないのです。だから今回の記事で深く理解したら、友達のクライマーに教えてあげてください。