スマホの「暖色モード」、実は寝付きを悪くするとの研究結果
目に負担を掛けるブルーライト(青い光)は、就寝前に見ると眠りに悪影響を及ぼすと一般に信じられています。実際に各社デバイスのナイトモードは、そうした趣旨のもと、日没後は青色を減らして暖色系の色域に切り替える仕組みとなっています。

ところが英マンチェスター大学の研究者らは、そうした定説を覆し、暖色系を増やすナイトモードは逆に睡眠を妨げるとの調査結果を発表しました。たとえばGoogle Pixelシリーズの「Night Light」は、「青色光が寝付きを悪くする」として画面を赤や橙色にすると説明されています。またiPhoneやiPadなどの「Night Shift」も、ディスプレイの色を暖色系の色域に自動的に切り替えるものです。

なぜブルーライトが睡眠を邪魔するかと信じられていたかといえば、この色が特に目の網膜にある光受容体メラノプシンを刺激しやすいと思われていたからです。そしてメラノプシンは生体リズムを調節するメラトニンというホルモンの分泌を抑え(本来は夜間に多く分泌される)、人体に夜を昼と錯覚させるというしくみです。

しかし今回のマウスを対象とした研究報告によれば、青色光が体内時計に最も強い影響を与えるとの見解は間違っているとのこと。メラノプシンシステムでは、どの色域にも影響に差はないどころか、逆に暖色系の光の方が悪影響を及ぼすとされています。

さらに調査によれば、体内時計への刺激については、色よりも輝度レベルの方が重要とされています。つまりディスプレイの色を変えるよりも、画面の輝度を落とした方が影響が抑えられる可能性があるというわけです。

それに加えて、光が同じぐらい薄暗ければ、青は黄色よりもリラックス効果があるとのことです。これは昼光色に黄色、日の出と日の入りの太陽光には青色成分が多く、体内時計もそれと連動していることからも信ぴょう性は低くないと思われます。

まだ実験はマウスのみですが、研究者いわく「人間にも当てはまると信じるだけの理由があると思います」とのこと。暫定的な結論としては、スマホからナイトモードに切り替えるよう指示される遅い時間であれば、携帯電話を置いて画面を見ないことが、快適な睡眠にとっては正解というわけです。