ゾラニ・テテ【写真:Getty images】

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30日に英国でカシメロと統一戦のテテが再び井上に言及

 ボクシングのワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)のバンタム決勝でノニト・ドネア(フィリピン)を破り頂点に立ったWBAスーパー&IBF王者・井上尚弥(大橋)。WBO同級王者のゾラニ・テテ(南アフリカ)は「イノウエは絶対的ではない。倒せる。どこでだって戦う」と再度挑戦状を叩きつけている。権威ある米誌「ザ・リング」が報じている。

 30日に英バーミンガムでWBO暫定王者ジョン・リエル・カシメロ(フィリピン)との統一戦に挑むテテ。「数々の試合を見た。ここ3試合の内容は良くなっているが、まだ悪い癖が残っている。その辺の傾向を突いていくつもりだ。彼は打ち合いに出てくる。安全な距離に留まっていられない。そこだけが注意だ」とフィリピンのハードパンチャーについて警戒した“世界戦11秒KO男”だが、その視線の先は早くもWBSSの頂上決戦で対峙できなかったモンスターに向けられていた。

「イノウエは絶対的ではない。倒せる。まずはカシメロを片付ける。その後はイノウエだ。彼が望むならどこだって戦う。おそらくアメリカだろうね」

 まずはカシメロを倒し、WBO王座を統一することが絶対条件で、2020年の初戦で井上との3団体統一戦を熱望。再び挑発している。

WBSS決勝を回想「私が今まで見てきたものの中で最高の一つだった」

 4月のWBSS準決勝でドネアと戦うはずだったが、右肩の故障で直前に棄権していたテテ。ドネアは代役のステフォン・ヤング(米国)を倒し、頂上決戦のリングに上がっていた。

 WBSS開幕当初は井上対テテというファイナルを予想する海外ブックメーカーも少なくはなかっただけに、テテにもかける想いがあったという。南ア人王者のマネージャーのムランデリ・テンジンフィネ氏は「私が棄権するように告げた、あの月曜日の夜、テテはヒステリックに号泣したんだ」と明かしている。

 テテは世紀の死闘となったWBSS決勝をこう振り返っている。「この2人の偉大なるボクサーの対決は、私が今まで見てきたものの中で最高の一つだった。ドネアは守りに入らなかった。自分の道を貫き、リング上の将軍になった。イノウエは最高のパフォーマンスを披露せざるを得なかった。さもなければ、別れのキスをしなければいけなかっただろね」と語っている。

 無敵のモンスターを、当時36歳のドネアが追い詰めた。31歳の自分ならば――。テテは早くも決戦を思い描いている様子。トップランクと契約し、来年米国で2試合戦う予定の井上との対戦が実現する可能性もありそうだ。(THE ANSWER編集部)