狭い道などで自動でバックしてくれる機能も!

 運転初心者、そして、自身で運転が苦手と”勝手に”思っているドライバーにとって、運転を、ドライブを、より快適に不安なくしてくれる先進装備があるのをご存じだろうか。それを知り、装着車に乗れば、バックが苦手でも安心できるリヤカメラの装着はいまどき必須としても、さらなる安心が得られ、運転がうまくなったように感じられるかもしれない。

1)トヨタRAV4「ダイナミックトルクベクタリングコントロール」

 世界初、新型RAV4のために開発された「ダイナミックトルクベクタリングコントロール」がすごい。後輪左右のトルクを別々に制御(0〜100%)するトルクベクタリングコントロールと、4WDを必要としない場面で後輪への動力伝達を切り離して燃費を向上させるディスコネクト(接続を絶つという意味)機構を備えたもので、オンロードでは山道で威力を発揮するダイナミックトルクベクタリングコントロールがすばらしい仕事をしてくれる。

 それはスポーツモードでより鮮明になり、曲がりのシーンで一般的な4WDであれば、リヤ全体から押し出される感覚があったりするのだが、左右輪を別々に(0〜100配分)制御するダイナミックトルクベクタリングコントロールが、左旋回なら右後輪からの駆動をアシスト。

 曲がりやすさ、安心感は抜群で、クルマがスムースかつ積極的に曲がってくれる、狙ったラインをトレースしやすい積極的なアシストに、気持ち良さ、痛快ささえ感じられるのだ。大げさに言わずとも、とくに山道や滑りやすい路面で、運転がうまくなったように思えるはずだ。SUVにして、全体的なクルマの動きは非常に滑らかで、ストレスのない上級感ある運転感覚に支配され、誰もが運転そのものを安心して楽しめるところもRAV4の大きな魅力、実力と言っていい。

2)BMW「リバース・アシスト」

 見知らぬ道を走っていて、気がつけば行き止まり、あるいはどうにも走りたくないような狭い道に迷い込み、バックするしかない! そんな場面では、運転暦うん十年のボクでさえ、困る。緊張する。バックが苦手な人なら、クルマを置いて逃げたくなるかもしれない。が、最新のBMW1シリーズなどに付いている、リバース・アシストがあれば、まるで画像の逆回しのように、アクセルとブレーキ操作だけで、自動でバックしてくれるのだから、安心である。

 具体的には、車両が直近50mのルートを自動的に記録していて、狭い路地や商業施設の駐車場などで切り返しが難しい際にスイッチをONにするだけで、進んできた通りのコースを自動でバックしてくれるのだ(アクセルとブレーキ操作は必要)。めったに使わないかもしれないが、お守りとして持っておきたい先進装備のひとつではある。

3)トヨタ「アクティブコーナリングアシスト」

 山道走行が苦手な人は、運転歴にかかわらず、存在する。つづら折りのカーブを右へ、左へとステアリングを切り、クリアしていくのには、それなりの技量と度胸!? が必要なのである。苦手だからといって、亀のようなスピードで走るのは、後続車に大迷惑。山道のほとんどは、追い越し禁止だからである。そんな、山道苦手症候群の人にぜひ乗ってもらいたいのが、トヨタのアクティブコーナリングアシストといった、カーブでの安定性を飛躍的に高めてくれる先進機能。

 アクティブコーナリングアシストの場合、カーブでクルマが外側にふくらむアンダーステアが生じそうになると、前輪の内側に自動でブレーキを掛け、曲がる方向のモーメントを発生させる。いわゆる“トルクベクタリング”と同じような効果も生まれ、アクセルを踏んだ状態で、クルマがグイグイと曲がる、というより、勝手に曲がりやすくしてくれるのである。運転は下手だけど、山道を不安なく、スイスイ走ってみたいという人には、ぜひオススメしたい先進機能のひとつである。

4)マツダ「G-ベクタリングコントロール」

 とくに機能的なアイテムを持たないのに、ドライバーの運転技量によらず、低速からの日常走行、高速直進走行、山道走行や緊急回避時など幅広い走行シーンで誰もがリラックスして、思いのままにクルマを操れる感覚をさらに高い次元に引き上げてくれるのが、マツダ全車に採用されているG-ベクタリングコントロール。

 基本はエンジンのトルク制御によって、運転疲労にもつながる無意識のうちのハンドル修正を低減してくれるとともに、乗員全員の体の揺れを低減。高速走行、悪路での安定性まで向上させてくれるのだ。結果、車酔いしにくいクルマとして認められているほどだ。「○○の運転だと、運転が下手で!? クルマに酔ってしまう……」なんて言われていたドライバーも、G-ベクタリングコントロールによって名誉挽回(ばんかい)できるかもしれない。

 さらに、最新のG-ベクタリングコントロールPLUSは、エンジンのトルク制御に加え、旋回中のハンドル戻し操作に応じて外輪にわずかにブレーキをかけ、クルマを直進状態へ戻すための復元モーメントを与えることで安定性が一段と向上。危険回避能力を高めるとともに、高速走行時の車線変更や、雪道など滑りやすい路面環境でも、人間にとって制御しやすく、より安心感の高い動きを実現してくれるから安心安全だ。

 G-ベクタリングコントロールもまた、運転がうまくなった、運転による疲れが低減された! と思える、地味ながらも効果絶大な機能というわけだ。

駐車や高速走行に不安がある人も心配無用!

5)ダイハツ「スマートパノラマパーキングアシスト駐車支援システム」

 ダイハツ最新のタントやロッキーなどにオプション設定されているスマートパノラマパーキングアシストは、駐車が苦手な人にぴったりの先進装備。これまでもこの種のパーキングアシストはあったものの、いまひとつ使えなかった……という経験のある人でも、ほぼ納得できるアシスト性能を持っている。ディスプレイ画面に、クルマの真上と、バックする方向の画像が表示され、機能がわかりやすいのがポイントで、操作は駐車したい白線(必須)のあるスペースの横で停車し、スイッチを約2秒、長押し。するとクルマが駐車枠を自動で検知し、ディスプレイに表示される駐車枠が正しければ「はい」をタッチ。

 すると、ステアリングが自動で動き出し、音声に従ってシフトレバー、アクセル、ブレーキを操作し、言われたままに前進、バックすれば、見事に駐車できるのだ。平面でなく、立体的に駐車を把握できるところと、最新制御によるアシスト精度の高さがポイントだ。もちろん、機能に慣れるための練習は必要だが、駐車が苦手な人にとって非常に便利な先進機能と言える。

6)ACC(アダプティブクルーズコントロール)+レーンキープアシスト

 ACCと呼ばれる全車速追従機能付クルーズコントロールとレーンキープアシストの組み合わせも、高速道路の運転に自信がない人にオススメだ。いきなり作動させるのはまずいが、空いた高速道路で作動を確認しつつ、機能を使いこなせるようになれば、ストレスのたまる高速走行もラクラクだ。

 機能としては、スイッチをオンにして、車速、先行車との車間距離を設定。すると、80km/hの設定ならその速度以内で、アクセルペダル操作なしで自動運転のように前車に追従。前車がいなければ、設定した80km/hをキープして走ってくれる。車間距離を一定に保つため、うっかり前車にくっつきすぎることはなく、万一の追突も自動ブレーキが働くまでもなく回避できるのだ。

 が、ここでのポイントはそこではない。運転になれない人が高速走行すると、下手にアクセルペダルを踏むため、車速が一定せず、前後にゆすられかねない運転になりがちだ。同乗者は、不安で不快で、たまったもんじゃないだろう。しかし、ACCを使いこなせれば、車速は一定、よりスムースな加減速による安定走行になる。同時に、燃費が良くなったりする可能性もあるのだ。

7)リヤクロストラフィックアラート

 運転になれた人でも緊張するのが、クルマを頭から駐車場に止め、バックで道路や通路に出るときだ。他車とぶつからないか、慎重に、ノロノロとバックすることになるだろう。が、例えばトヨタのリヤクロストラフィックオートブレーキなどの装着車なら、自車の左右後方から接近する車両を車体後部のレーダーで検知し、接近する車両がいればインジケーターの点灯とブザーで警告してくれるとともに、衝突の危険性がある際は、ブレーキ制御まで働かせてくれるから安心。以前は高級・高額車にしか付いていなかったが、今ではカローラにまで装着されている先進機能のひとつ。

8)ブラインドスポットモニター

 いまでは多くのクルマに付いている、自動ブレーキとともに安全運転、接触事故防止に役立つ先進機能が、ブラインドスポットモニターだ。合流、車線変更が苦手、怖いと感じている人も、これがあれば安心・安全。後方から接近してくるクルマを検知し、それでも車線変更しようとすると警告してくれる。ボルボのXC60などは、それでも車線変更の操作を行うと、ステアリング制御で車線内に戻してくれる機能さえある。廉価なモデルでは、マツダ2に、前身のデミオ時代から装備されている(リアクロストラフィックアラート込み)。