3度目のアジア王者を目指す浦和。23日に決勝進出を懸けてアウェーで広州恒大と対戦する。(C)SOCCER DIGEST

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 浦和レッズは10月18日のJ1リーグ29節、大分トリニータをホームに迎え撃ったゲームで、試合終了間際に決勝ゴールを許し、0−1の敗戦を喫した。

 J1残留争いを考えればあまりにも痛い敗戦だが、試合後に大槻毅監督が「この試合はもう返ってこないですし、水曜のゲームが来るので、しっかりと回復をして、移動を含めて準備をして、ゲームに向かおうということです。まずは回復することが大事になってくる」と話したように、23日にはアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の準決勝第2戦、広州恒大(中国)とのアウェーゲームが待っている。
 
 ホームの第1戦を2−0で勝利していることは、客観的に見れば浦和が突破に向けて優位な状況を築いていると言える。しかし、インターナショナル・マッチウィークの間の期間に、リーグ戦とACLの最終盤に向けてチームがトレーニングを積んでいる際、槙野智章はこのようなことを話していた。
 
「幾度となく僕らもビハインドを跳ね返してきた経験がある。2点リードでアウェーに行く難しさは、浦和が一番知っていると言えるかもしれません」
 
 確かに槙野の言葉通り、2017年には16強で済州ユナイテッド(韓国)、8強で川崎フロンターレを相手に、第1戦の2点ビハインドを第2戦のホームで跳ね返し、突破した。逆の立場に浦和がならないという保証はどこにもない。
 
 そうした意味で、その突破に向けた課題が見えたのは大分戦の前半だった。浦和は大分にボール保持を許し、自陣に押し込まれる時間が長くなった。その状況で全体的に撤退を余儀なくされるのは仕方ないが、そこからのリカバリー能力という点で大きな問題を抱えてしまった。
 
 浦和は守備時にブロックを形成する際、5バックの前に4人の中盤のラインを作っている。この大分戦で垣間見えたのは、自陣でボールを奪ってから、近くに相手が多い状態で、有効な前進が図れていないことだった。興梠慎三が前線で孤立してしまい、ボールの預けどころには難儀した。大槻監督も劣勢の一因として「守備のところよりは、ボールを握って我々がボールを保持するというところが、前半のところで少しうまくいかなかった」と話した。
 
 広州恒大戦を展望してみれば、2点ビハインドの相手が攻撃的な姿勢を打ち出すのは確実だと言える。強力外国人トリオを擁する広州恒大から最終ラインに掛けられる攻撃の圧力は、大分を超えるだろう。その上でボールを前線に繋げず、次々に攻撃を許す展開になれば、決壊してしまう可能性は非常に高い。
 
 準決勝の第1戦で3バックの中央に入った鈴木大輔は大分戦を欠場したが、柏レイソル時代に広州と対戦経験があり「何でもないプレーも沸く。嫌なものですよ」とスタジアムの空気感を話す。押し込まれて脱出できない展開になれば、その空気感も色濃くなってしまうだろう。
 
 興梠は「今日も非常に大事な試合だったけど、次(ACL)はタイトルも掛かる試合。切り替えて頑張るしかない」と前を向いた。相手の攻撃を受けるだけでなく、いかにボールを前進させてその回数を減らせるか。撤退からの回復方法の整理ができるかどうかが、突破を大きく左右する要素になりそうだ。
 
構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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