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今回の一杯は、言わずと知れた「富士そば」である。東京のどこに行ってもある(気がする)安心感、そして店内に流れる演歌のBGMは、初訪問でも懐かしささえ感じる。正式名称は「名代富士そば」。「名代」は「なだい」と読む。「なしろ」でも「みょうだい」でも「めいだい」でもない。富士そばは、第91回に六本木店を紹介している。しかしこの度、富士そばで一風変わった限定メニューを頂けるとの情報があり、たまらずに向かったのは武蔵小山店である。

○昼前の穏やかな店内で限定メニューを待つ

東急目黒線「武蔵小山」駅の東口から徒歩2分。アーケード商店街を入り、右手側の店舗に並ぶ。訪問は、平日の10時過ぎ。週末は人で埋め尽くされるこの通りも、この時間はやや閑散としている。

さて、肝心の限定メニューだが「淡麗煮干しつけ蕎麦」と「淡麗煮干し汁 肉つけ蕎麦」だ。「煮干しラーメン」にはかねてから定評のあった富士そばだが、今回のメニューは、立ち食いそばファン界の大先輩、東京ソバット団の本橋氏協力の元で開発されたとのことで、くわしい経緯は公式サイトからのリンクで読むことができる。注文したのは肉つけ蕎麦の方。お値段は590円。

店内に先客はなく、いつものBGMも控えめで静かだ。楕円形を半分に切ったような形のテーブルの周りに固定スツールが並ぶ。正面に厨房、受取口があり、こちらで食券を。「そばで?」と聞かれたので、うどんでもいけるようだ。

○グランドメニューと遜色のない安定感ある一杯

限定メニューだからか、待ち時間は3〜4分と、富士そばにしてはそれなりに要した。湯通しされた豚肉とネギ、揚げ玉、ゴマ、刻み海苔が豪快に盛り付けられた丼。一方つけ汁は、茶褐色で何も加えられていないシンプルなものだ。この温かい汁に麺をつけながら食す。「淡麗」の冠の通り、煮干し特有の臭みはなく、あっさりしていて食べやすい。つけ汁はラーメンのそれに近いが、そばとの相性にも違和感はない。奇をてらった限定メニューというよりは、グランドメニューに並んでいてもおかしくないバランスの良さだ。さらに富士そばの肉つけ蕎麦も、例に漏れず大盛サイズでボリュームは満点。麺はもう少し固茹での方が個人的な好みではあるが、そのあたりは富士そば特有の個性なのかと思う。

こちらの「淡麗煮干しつけ蕎麦」は富士見台店、稲田堤店、神楽坂店と、この武蔵小山店の4店舗限定。さらに限定5,000食もしくは7月22日で販売終了とアナウンスされている。ということはもう一ヶ月を切っている。今すぐ富士そばへ!

○筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)

1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に銭湯を紹介する同人誌『東京銭湯』『三重銭湯』『尼崎銭湯』などをこれまでに制作。