ネット詐欺サイトをAIも使ってブロックする! よくある5つの手口を防げる「詐欺ウォール」を試してみた

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インターネットを安全に利用するうえで欠かせないのが、セキュリティ対策だ。
いわゆるコンピューターウイルスに関しては、ウイルス対策ソフトをインストールしている人も多いだろう。たとえば、Windows 10ユーザーなら、あらかじめWindows Defenderが入っているので、ウイルスの脅威に対してはある程度の対策がされており、安心感もある。

一方で、近年被害が急増してるのは、ワンクリック詐欺、フィッシング詐欺、偽通販サイト、ランサムウェアなど、いわゆる「ネット詐欺」と呼ばれる脅威だ。

コンピューターウイルスに対しては、ウイルス対策ソフトで防衛することができるが、実は、ウイルス対策ソフトでは、ネット詐欺を防止するのは難しいのだ。

そこで注目したいのが、ネット詐欺対策に特化した「詐欺ウォール」というセキュリティソフトである。

今回は30日間無料の体験版をインストールして利用してみた。


■「トリプルブロック」でネット詐欺を防止
「詐欺ウォール」は、「トリプルブロック」と呼ばれる下記の3つのしくみによってネット詐欺を防止する。
・ブラックリスト検知
・ヒューリスティック検知
・AI検知

「ブラックリスト検知」とは、
公共機関などへの通報から確認された詐欺サイトなどのURLリストによる防御システムだ。
WebブラウザーでWebサイトを表示させる前に、アクセス先のURLとブラックリストを照合し、一致した場合には警告を表示して危険を知らせてくれるのだ。

しかしブラックリスト検知も万全ではない、
詐欺などの悪質なサイトでもURLが少し違うだけで検知できないという弱点があるからだ。

そうした状況に対応するのが「ヒューリスティック検知」である。

「ヒューリスティック検知」は、
詐欺サイトのサンプルを元に専門家が解析し、URL変更されたサイトでも自動で判断する検知エンジンで類似サイトをブロックするのだ。

「AI検知」とは、
詐欺サイトの分析・チューニングを機械学習することで、人が解析するヒューリスティックエンジンで追い切れないサイトの認識を補強している。
AIの機械学習を利用することで、手を変え品を変えてやってくるネット詐欺にすばやく対応できるようになっている。

■フィッシングも防止できた! 5種類の詐欺手口をブロック
「詐欺ウォール」は、下記の5種類のネット詐欺をブロックしてくれる。
・ワンクリック詐欺
・偽通販サイト
・フィッシング詐欺
・偽警告
・ランサムウェア(Windows版のみ)

この中で、特に被害が急増しているのが「偽通販サイト」だ。
「偽通販サイト」の手口は、ブランド品などを激安販売していると見せかけて代金を支払わせる。
この手口自体は古典的ともいえるが、有名サイトのデザインを、精緻に模倣しているサイトも多く、一見しただけでは偽サイトと判断できないのがやっかいな点だ。

詐欺ウォールでは、偽通販サイトにアクセスしようとすると、ブザー音ともに警告を表示してくれる。
さらに、トリプルブロックのうち、どのシステムで検知したか確認できようになっている。
なお、実際に試してみると、偽サイトだけでなく、ブランド商品のコピー品を販売している違法サイトもブロックできた。


偽通販サイトや違法販売サイトにアクセスしようとすると、警報音とともに赤い警告画面が表示された。


また、昨年ごろからはLINEやAmazonなどを騙るフィッシングメールも出回っている。
実は筆者のところにも頻繁に届いている。
試しに受信したメールに記載されているリンクをクリックしてみると、ブラウザー画面に警告を表示して瞬時にブロックしてくれた。


筆者のもとに届いたAmazonを騙ったフィッシングメール。Amazonのロゴ入りで、架空の注文番号まで記載されている念の入りようだ。詐欺ウォールの機能を確認するために、「アカウント検証」のリンクをクリックしてみた。




フィッシングメールのリンクをクリックしたところ、このようにブラウザーの画面に「フィッシング詐欺」という警告画面が表示された。


なお、今回利用したWindows版の場合は、対応ブラウザーが以下のようになっている。Microsoft Edgeが非対応である点に注意しよう。
・Internet Explorer 11(64bit版のInternet Explorerは非対応)
・Chrome (拡張機能のインストールが必要)
・Firefox (拡張機能のインストールが必要)


■除外サイトの設定やフォルダーの保護も可能
検知システムから除外したいサイトがある場合は、設定画面の「検知除外リスト」で、除外サイトを登録できる。また、ランサムウェア対策として、「フォルダ保護機能」も搭載している。

ランサムウェアとは、
パソコンのファイルに勝手にパスワードをかけ、解除するための身代金を要求するネット詐欺だ。「フォルダ保護機能」は、指定したフォルダー内のファイルを保護でき、ランサムウェアがそのデータにアクセスしようとすると事前通知をしてくれる。


正規のサイトなどが検知されてしまう場合は、設定画面の「検知除外リスト」を開いて、URLを登録すればよい。以降はそのサイトにアクセスしてもブロックされなくなる。




設定画面で「フォルダ保護」の設定をクリックすると、このような案内が表示される。「かんたん設定」もしくは「詳細設定」で保護対象のフォルダーや、アクセスを許可するプログラムの設定ができる。



■スマートフォン版は、アプリ内ブラウザーもサポート
詐欺ウォールは、Windows版に加え、Android版とiOS版もリリースされてる。

Android版では、LINE、Facebook、Twitterなど主要SNSのアプリ内ブラウザーからほかのサイトにアクセスする際でも、詐欺サイトをブロックできる。
iOS版でも、VPN通信を使うことでアプリ内ブラウザーを使用した場合に、詐欺サイトの検知・警告ができる。


スマートフォンでは、SNSのアプリ内ブラウザーでWebサイトを閲覧することも多い。詐欺ウォールはそのようなアクセスも、きっちりとブロックしてくれる。



「詐欺ウォール」は、手軽に徹底してネット詐欺対策をしたい人にはうってつけのツールだ。
ただし、それはあくまでも“ネット詐欺専用”のツールという位置づけだ。
コンピューターウイルスの検知・除去機能は搭載されていないので注意して欲しい。

そのため、「詐欺ウォール」と「ウイルス対策ソフト」この2つを併用するのがおすすめだ。
ネット詐欺対策に関心がある人は、まずは体験版を試してみるといいだろう。


「詐欺ウォール」公式サイト


執筆:しぶちん(ITライター)