「わが党の半世紀の懸案だった新憲法草案を、条文化した形で初めて公式に発表できたことは大きな喜び」と語る新憲法起草委員長の森喜朗前首相(撮影:吉川忠行)

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22日に開かれた自民党立党50年党大会では、新憲法起草委員長の森喜朗前首相から新憲法草案が発表された。森前首相は「現行憲法の理念を尊重しながら日本人自らの手で憲法を定め直すことこそ、自民党立党の原点であり大義だった。国の形を根本から見直す究極の構造改革。新たな国家像を示す指針として、憲法改正の必要性が高まっている」と新憲法草案の発表を喜んだ。

 草案は、2005年1月から新憲法起草委で審議され、1次素案、2次素案、最終素案を経て、10月28日に同委と総務会で了承された。

 前文は、国民が主権者として憲法を制定すること、象徴天皇制の維持、国際協調主義を盛り込んだほか、現行憲法にはない地方自治の重視、地球環境の保護なども記した。9条については、第1項は存続、第2項に内閣総理大臣を最高指揮官とする自衛軍の保持を明記した。そのほか、知的財産権やプライバシー権などの新しい権利も盛った。

 森前首相は草案の概略について、「前文は、現行憲法からまったく書き換えた。基本的人権など3原則はそのまま継承した。9条では、2項で自衛軍保持を規定し、戦力不保持を定めた現行憲法の下で自衛隊が存在するという長年の矛盾を解消した」と説明した。

 また、「今後さらに議論と検証を重ね、磨き上げていく努力が必要」と強調。新憲法起草委の前文小委で、国土、自然、文化など日本の国柄を前文に書き込むべきだ、との意見が出ていたことに対して、「各国の憲法と照らし合わせて簡素にした。今後、国民の議論の中で検討すべき課題」と付け加えた。【了】

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