GW、都内で遊び倒すためのコツとは?(写真:ジャバ / PIXTA)

総合旅行サイト「エクスペディア・ジャパン」が行った 2018年のGWに関する意識調査によると、行きたい国内の旅行先ランキングの第1位は「東京・横浜などの関東エリア(30%)」だそうだ(2位は「北海道(22%)」、「大阪・京都などの関西エリア(22%)」と続く)。


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3月にオープンしたばかりの東京ミッドタウン日比谷はじめ、パンダのシャンシャン効果でにぎわう上野、いよいよ豊洲移転までのカウントダウンが始まった築地市場など、注目スポットも多い東京の人気はいまだ高い。

筆者をはじめ都内在住者にとっては、まずは生活の場であり仕事の場でもあるので、「東京観光って、どこに行くと楽しいんだろう?」と改めて考えると逆に悩んでしまうものだ。そういう住人にとっても、観光で来訪する首都圏外の方にとっても、「格安で東京観光を楽しむための心得」を考えてみた。

無料で利用できる観光先を探すなら

筆者が考える、おカネをなるべくかけずに観光を楽しむためのポイントは、主に3つある。

1.公的な施設やサービスをとことん利用する

2.格安な移動手段を探す

3.休憩する際のおカネはムダに使わない

まず1の、公的な施設やサービスだが、これらをお勧めするのは無料もしくは格安で利用できることが多いからだ。東京観光情報の収集に役立つのはいわゆる観光案内所だが、海外からの訪日客向けだけでなく国内の利用者もここを使わないのはもったいない。

筆者のオススメは、東京駅丸の内南口にあるKITTE(キッテ)だ。新幹線で上京する人も、まずはここに行くといいだろう。

このビルの地下1階にある「東京シティアイ」は、東京を訪れる国内外のツーリスト向けに、交通・食・宿泊・イベント・エンターテインメント・ビジネス等の幅広いジャンルについて 情報提供から各種手配サービスまで手掛ける総合観光案内所だ。開放的な空間で、カフェも併設しているのでふらっと気軽に入れる。

特に充実しているのは、都内の観光施設のパンフレット類だ。しかも、ざっくり都内という情報ではなく、それぞれの区ごとの観光スポットを掲載したパンフレットも置いてある。都民でも、自分が住んでいる行政区や近隣にこんなスポットがあるのか、という発見ができるかもしれない。

ちなみに、観光ガイドにはあまり載っていない、無料観光スポットのパンフレットも発見できる。丸の内の近所にある重要文化財「明治生命館」などもそうだ。

ここは、終戦後はアメリカ極東空軍司令部として使用するためGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)に接収され、米・英・中・ソの4カ国代表による対日理事会(ACJ)の会場として使用された建物としてあまりに有名だ。荘厳な外観や、一般公開されている内部は歴史好きでなくとも一見の価値がある。

京橋の警察博物館(ポリスミュージアム・無料)のパンフレットもあった。ここは家族連れに大人気で、防犯知識を蓄えるゲームや白バイ隊員なりきり撮影(子どもが対象)などができるのだが、やけに外国人観光客が多かったことを思い出す。ひょっとすると、この案内所で紹介されていたのだろうか。

金融機関への就職を目指す学生なら、「信託博物館」(三菱UFJ信託銀行)も興味深いかもしれない。信託とはどういったものかを歴史とともに学ぶミニ施設だが、こちらも入場無料。

この「東京シティアイ」ではコンシェルジュが観光の相談にも乗ってくれる。案内だけでなく宿泊予約やチケット等の手配までワンストップでサービス提供してくれるというから、困ったときには頼りになりそうだ。

こうした都内の案内所はほかにもいくつかある。サイト「Tokyo Tourist Information」では観光窓口の検索ができるので、自分の用途に応じた窓口を探したい。

なお、JR・私鉄・地下鉄の駅には、沿線の観光案内マップやイベントスケジュールが乗った冊子が置かれていることが多いので、これも入手しておくと役立つだろう。

格安巡回バス、使いこなせていますか?

行き先が決まったら、次は交通手段だ。都内には無料または100円と格安で利用できる巡回バスがいくつかある。人気の下町エリアを回るのは台東区循環バス「めぐりん」。浅草や上野公園、かっぱ橋などの台東区の観光に役立つ4路線が、それぞれ100円で利用できる。

さらに全路線が乗り放題になる1日乗車券は、わずか300円。所要時間は多少かかるが、地下鉄を2回乗り降りするより安い。100円で利用できるのは、渋谷区のコミュニティバス「ハチ公バス」も同じ。渋谷・恵比寿・代官山を巡回するルート、原宿・表参道を結ぶルート、渋谷区の美術館や博物館をめぐるルートなどがある。

さらに文京区をめぐる「B-ぐる」は、後楽園のラクーアから千駄木・駒込を回るルートと、目白台・小日向ルートの2系統。こうしたコミュニティバスではPASMO、Suica等の ICカードが使えるので便利。

さらには、無料で利用できる巡回バスも。臨海副都心を結ぶ「東京ベイシャトル」、大手町、丸の内、有楽町地区を結ぶ「丸の内シャトル」、八重洲、京橋、日本橋地区を結ぶ「メトロリンク日本橋」(2路線)は、10〜20分間隔で運行しており、どれも無料。費用がかからないのは地元企業の協賛を受けているからで、観光やショッピングに使える路線ばかりでありがたい。どのバスも、サイトなどで路線図を確認しておき、有効に使いたい。

もちろん、鉄道会社のフリーきっぷや1日乗車券も忘れてはいけない。東京メトロ・都営地下鉄の共通1日乗車券は大人900円、子ども450円。東京メトロ24時間券は大人600円、子ども300円。しかし、これらのオトク度判定はなかなか難しい。東京は他の地方都市に比べ、地下鉄の運賃は比較的安いからだ。

たとえば、東京駅から銀座に行き、そのあと日比谷まで乗り(筆者なら歩くかもしれないが)、そのあと六本木にでも行くとする。ここまでで170円×3回で510円(IC495円)になる。この後、恵比寿に移動して食事でもすれば680円(IC660円)になり、なんとか元は取れた計算になる。

しかし、もし六本木から新宿に向かうとなると、今度は都営大江戸線を利用するので、730円(IC711円)となり、東京メトロ・都営地下鉄の共通1日乗車券だと足が出てしまう。何度も地下鉄を乗り降りするスケジュールの日に絞って利用したほうがいいかもしれない。

さらにJR線の都区内区間も含んだ東京フリーきっぷは大人1590円と結構いいお値段だ。地方在住の友人からたびたびこう言われるのだが、東京もんはとにかくよく歩くそうだ。下手すると地下鉄一駅くらいは歩いている。1日乗車券を買った日はなるべく歩かず、まめに乗り降りしたほうがトクというわけだ。

なお、これらのフリー乗車券を提示すると、都内施設の割引や1品サービスなどの特典が受けられるので、その内容をまとめた特典ガイドブック「ちかとく」を駅構内などで入手しておくことをお勧めする。

みどりの日には無料開放の施設がたくさん

1日観光して回ると、ひと休みしたくなるものだ。もし、カフェに入るなら、2杯目が割安になるチェーンを選ぶといい。サンマルクカフェは、最初にコーヒーを購入したレシートを提示すれば、当日同店舗ならブレンドやカフェラテなど対象のドリンクが半額になる。

こうした2杯目割引サービスはスターバックス、タリーズ、カフェ・ド・クリエなど他のチェーンでも実施しているが、ほとんどが当日・同店限りが対象なのに対し、スタバは同日だったら他店でも適用されるので、次の休憩にもスタバを選ぶのがトク。

さらに、ミスタードーナツはブレンドコーヒーもカフェオレもおかわり自由(実施していない店舗あり)。ゆっくり休みたいならミスドを探せというところだろうか。

最後にGW情報としてだが、みどりの日(5月4日)には無料開放される施設がかなりある。上野動物園、多摩動物公園、葛西臨海水族園、井の頭自然文化園、夢の島熱帯植物館、新宿御苑、六義園、旧岩崎邸庭園(一部外観工事中)、旧古河庭園などが対象。

ただでさえ人出が多い時期なので、かなりの混雑は覚悟しなければならないが、無料好きならトライしてはどうだろうか。

旅慣れた訪日外国人はとにかく節約できるものは節約し、目いっぱい東京観光を楽しんでいると聞く。われわれも彼らに負けずに無料や割引サービスをしっかり利用して、おカネは減らさず、思い出をたっぷり増やす休日を過ごそうではないか。