原博実氏が技術委員長の座に就いたのは、岡田ジャパン時代の2009年2月。だが、岡田さんが代表監督在任中は、いまの西野さん以上に控え目だった。岡田さんに物申すことは、岡田ジャパンがひどい状態でW杯本大会に向かって行ったにもかかわらず、一切しなかった。首を突っ込むことは避けていたと言いたくなるほど、引いていた。

 原さんの存在感が俄然、注目されたのは、2010年南アW杯直後。新監督探しの段になって突如、活躍し始めた格好だ。2013年12月には専務理事に昇格。2016年1月まで計7年近く、代表関連の仕事に従事した。しかし、W杯から次のW杯までの4年間は、1度しか経験していない。

 代表監督にアドバイスを送るだけの経験があるとは言えないのだ。日本及びアジアの特殊事情を、外国人監督に伝え、時間の使い方、メンバーの選び方を共に考えるノウハウを持ち合わせているとは言い難い。西野さんもやっと2年が経過した段階だ。原さん同様、Jリーグ監督としての経験はあるが、代表監督と行動を共にした経験はない。ハリルホジッチから頼りない存在に見られても不思議はないのだ。
つまり、代表監督を外国人ではなく、日本人に任せても同じような問題が起きる可能性は高いのだ。2014年W杯に臨んだ岡田さんが、そのいい例だ。自身2度目の代表監督だったにもかかわらず、時間の使い方を誤った。最終予選が終了した段階で、こう明言したものだ。「2010年南アW杯は中村俊輔と、遠藤中心で行く!」と。

 だが、中村俊はご承知の通り、本番でほぼベンチを温めことになった。エースの座は、急遽、1トップ(0トップ)に起用された本田圭佑が務めることになった。そしてその活躍で、日本は救われた。ベスト16という結果は残したが、それは、模範的な強化策から大きく外れた結果オーライと言うべき産物だった。

 日本人でも、外国人でも起こり得る話。4年という歳月の使い方の難しさを改めて見ている気がする。あのジーコだって、ラスト半年で失速した。歴代の代表監督の中では、ザッケローニがギリギリ及第点だった気がする。

 代表監督に4年間を任せようとするなら、サッカーの中身に加え、そのあたりの才能もチェックしなくてはならないが、4年間を丸投げしない方が問題の解決は早い気がする。

 ただし、残り2ヶ月半あまりの段階で、監督を変えるなら、時間の使い方の心配はない。いま求められているのは、いきなり中村俊を外し、本田を1トップで起用した岡田さん的な大改造だ。求められているのは,大鉈が振るえるアイディアマン。日本人でも可だ。雁字搦めの状態に陥ったハリルホジッチよりマシな人材はいるハズ。田嶋、西野両氏には、直ちに動くことを願いたい。