立て続けて発覚している日本の製造業におけるスキャンダルによって、中国国内では日本の製造業が築き上げてきた「高品質」といったイメージは地に落ちたという報道が多くなされている。(イメージ写真提供:123RF)

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 国内総生産(GDP)で日本を追い越し、米国に次ぐ世界2位となった中国。経済の規模だけでなく、近年は質も高まってきており、製造業もかつてのように「安かろう悪かろう」の製品ばかりではなくなった。実力を高め続ける中国が今の日本から学ぶところはあるのだろうか。中国メディアの世界経理人はこのほど、「日本の製造業から中国は何を学び取れるか」と問う記事を掲載した。

 近年、立て続けて発覚している日本の製造業におけるスキャンダルによって、中国国内では日本の製造業が築き上げてきた「高品質」といったイメージは地に落ちたという報道が多くなされている。

 しかし記事は、中国企業は日本の製造業に学ぶべきことはまだたくさんあると主張し、学ぶべきは「その精髄」であると主張。なぜなら日本の製造業の強さは全く失われておらず、グローバル企業の番付であるフォーチュン・グローバル500などのランキングを見ると、興味深い事実が読み取れるという。

 それはランキングの上位に名を連ねる日本企業は「経験と実力を兼ね備えた企業ばかりであり、成熟した組織を持つ製造業が多い」のに対し、中国の場合は「近年急成長している金融業や、インターネット関連や資源関連の企業が多い」ということだと指摘し、つまり、中国の場合は国内の市場規模を強みとした企業が多いということだと論じた。

 続けて記事は、日本の製造業は1960年代に既に世界への進出を始めたゆえに、中国と比べると蓄積してきた経験に大きな差が存在すると指摘し、この経験により日本の製造業は世界の市場において主導権を握っていると分析。中国が今後世界へと進出していくうえで、日本企業と同じ道を辿ると想定するならば「日本の製造業から学ぶべきことは山のようにある」と指摘した。特に中国が必要としているのは「生産のための技術だけではなく、新しいモノを作りだすことや、世界の市場を視野に入れた経営」であるとし、日本に創業100年を超える老舗企業が多いことは「伝統と技術を受け継ぎつつも、時代の変化に適応し革新を続けてきた」ことを意味すると分析した。

 日本の製造業も経験してきたことだが、国の経済発展の勢いが低下する局面は中国にもいずれ訪れることになるだろう。その時にどのような手を打つかという点で、中国にとって日本の製造業は1つのロールモデルとなるのかもしれない。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)