植田直通(撮影:Noriko NAGANO)

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植田直通が初めて日本代表の合宿に招集されたのは2014年12月28日、翌年1月のアジアカップ直前だった。内田篤人の負傷で、ハビエル・アギーレ監督は代わりの選手として植田を選んだのだ。

アジアカップでは出番はなかったものの、植田はその後のU-23日本代表でも活躍し、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が就任したあとも度々合宿に呼ばれ続ける。

ところが、日本代表での出番はまだない。それどころか9月のワールドカップ予選は「自分もチャンスがほしいという気持ちがあるし、『この大舞台でやってやる』という気持ちもあります」と意気込んでいたものの、ベンチ外という辛い思いも味わった。2年9カ月、ずっとピッチの中で走り続ける選手たちを、植田は見つめるだけだった。

それでもハリルホジッチ監督は植田を選び続ける。今回招集されたフィールドプレーヤーのうち、代表出場経験がないのは初招集の車屋紳太郎と植田だけ。ピッチに立たせてはいないものの、監督が常に手元に置いておきたい選手なのだ。

ワールドカップ出場を決め、監督が「あまり出ていなかった選手たちに機会を与えたい」と位置づけた今回の試合で植田の出番はあるか。呼ばれても使われない状況が続いたので、自分のプレーに迷いは生じていないのだろうか。

「自分は思いっきり行くタイプなので、どんどん行きたいと思います」

言葉に一点の曇りもなく、植田は言い切った。

「(組んだ選手と)合う、合わないのはやってみないとわからないので、僕が消極的になっても仕方がないので。僕は行ってこそだと思いますから、そこは物怖じせずにやっていきたいと思います」

いつも落ち着いたトーンで語る植田なので、単に向こう見ずなのではない。これまでの経験を踏まえつつ、未来を想像していた。

「高校のときからいろいろなアジアのチームと試合をして、去年もクラブワールドカップに出たりしたのですが、それでもワールドカップは別物だと思います。もっと厳しさがあると思うので、また違う準備、気持ちの持ち方をしなければいけないと思っています」

フィジカルが強いニュージーランド戦に出たいのではないか、という質問に、植田は「2試合とも出たいです」と即答した。この飢餓感を募らせている若武者の出番は、今回こそ与えられるべきだろう。

【日本蹴球合同会社/森雅史】