G・シャビエル加入で最大の利点はセットプレーである。このオプションが名古屋の戦いをかなり楽なものにし、戦いやすさを生んでいることは間違いない。
 
「自分たちは普段からボールポゼッションを練習していますし、自分たちがゲームを支配することを目標にやっています。そのなかでは、セットプレーを含めた得点が非常に重要な要素になってくる」とG・シャビエルは言う。得点が彼らにとっては最優先に手に入れるべきものだということは、この言葉からも理解できる。
 セットプレーを駆使してリードを奪い、自分たちのペースでサッカーを展開するとは、まるで2010年の優勝チームである。あるいはベンゲル監督の率いたレジェンドチームか。
 
 もちろんスタイルはまるで違うが、この夏場を戦い抜く意味でも大事にするプレーが共通するのは何かの必然を感じもするもの。チーム創立25周年を祝う記念ユニホームもまた、その想いを加速させる。
 
 歴代の名古屋というチームがその恩恵に預かってきた強力な武器は、究極の技術とボール保持を企図する現在のクラブにも、大きな成果をもたらしている。
 
取材・文:今井雄一朗(フリーライター)