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公道走行可能 走る小屋

今週、注目のワールドレコード・チャレンジが行われる。走る “小屋” が、世界最速の名をかけて、時速100mph(161km/h)を目指すのだ。

会場は、ノースヨークシャーのエルビントン飛行場で、荒天(とくに強風)でなければ実施される。


誰も想像しなかったマシンを生み出したのは、オックスフォードシャーを拠点に活動するケビン・ニックスだ。そして今回の挑戦は、なんとチャリティ活動の一環として実施されるという。

ケビンがサポートするのは、彼の地元で、ホスピスケアに無報酬で従事する団体なのだ。

ベースはパサートV6 4モーション

完全に公道走行可能な “小屋” は、

フォルクスワーゲン・パサート2.8 V6エステート 4モーション

をベースにしている。


2014年。彼は、走行30万kmを刻んだパサートを、部品取り車として購入。しかしその後、どうしてもスクラップする気になれずにいた。

「何カ月も頭を悩ませていました。それがある時、自分が建てたログハウスの前を歩いていて、ひらめいたのです」

100mphに届かなかった2015年

彼は、パサートをフロアパン以外すべて引きはがし、スティール製のスペースフレームを組み上げた。それを骨組みにして、木組みのボディワークを完成させたのだ。


見た目が実に素晴らしいのは、Aピラーを取り除くという発想が功を奏している。またドアミラーには、後方カメラが組み付けられ、その映像はダッシュボード上に映し出される。

四輪駆動で走る “小屋” は、英国の型式認定を正式に受けており、公道走行が可能だ。初めてのスピード記録挑戦は、2015年にシェイクスピア・カウンティ・レースウェイで実施された。

その時に彼のマシンが記録したのは、99.766mph(160.623km/h)だ。

ナイトラス・オキサイド・システム導入

ケビンは、最近取り付けた「ナイトラス・オキサイド・システム(=NOS)」が、効果を発揮すると願っている。なにしろこの改造で、最高出力が193psから269psに上昇。このパワーで車重2250kgの “小屋” をフル加速するというのだ。


なお、エアロダイナミクスはまだまだ改善の余地があるものの、ケビンはいくつかの秘策を用意しているという。

かつてF1マシンのエアロダイナミクスを担当したエンジニアによれば、背面のフラットなボディワークが、ドラッグの発生に一番貢献しているそうだ。このため、車体の角に垂直尾翼を取り付け、気流をコントロールすることが望まれるという。