「決勝進出は来年までおあずけだね」とクエリー [ウィンブルドン]

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 イギリス・ロンドンで開催されている「ウィンブルドン」(7月3〜16日/グラスコート)の男子シングルス準決勝で、アメリカ人選手として2009年のアンディ・ロディック(アメリカ)以来となる決勝進出を狙った第24シードのサム・クエリー(アメリカ)は、第7シードのマリン・チリッチ(クロアチア)に7-6(6) 4-6 6-7(3) 5-7で敗れた。

 クエリーの目標はすでに来年のウィンブルドンに向けられている。ウィンブルドン準決勝という大舞台よりも、準々決勝で戦ったディフェンディング・チャンピオンで第1シードのアンディ・マレー(イギリス)戦のほうが、クエリーにとっては精神的にタフな試合だったようだ。

「僕の決勝進出は来年までおあずけだね」とクエリー。「実のところ準決勝のチリッチ戦よりも準々決勝のマレー戦のほうが精神的にきつかった。準決勝は本当にいい感じだったよ」と、昨年のウィンブルドンではベスト8だった29歳のクエリーはコメントした。

 第1セットでは、ともに身長198cmというビッグサーバーのふたりが、互いにブレーク・チャンスを与えず、すべてのサービスゲームのキープに成功し、タイブレークに突入した。

 タイブレーク6-6となったとき、観客席の体調を崩した女性を助けるために数分間試合が中断された。プレーが再開したとき、やや硬くなっている様子のチリッチは2本のバックハンドをミスし、クエリーがこのセットを奪った。

「第1セットでサービスゲームを何度かキープできたことで緊張がほぐれ、いいプレーができたと思う」

 しかし第2セットでは、チリッチがついにこの試合最初のクエリーのサービスゲームのブレークに成功し、6-4でこのセットを奪った。

 第3セットでもチリッチは先にブレークを果たしてリードを奪ったが、クエリーも負けじとブレークバックに成功。このセットもふたたびタイブレークに持ち込まれたが、要所でチリッチがポイントを連取し、結局このセットも奪った。

 第4セットで先にブレークに成功したのは、クエリーのほうだった。だがチリッチはそこから奮起し、ブレークバックを果たして、第12ゲームで再度クエリーのサービスゲームをブレークして7-5でこのセットを奪い、試合を制した。

「今日はチリッチの攻撃的なプレーに少し押されてしまった。彼のプレーは本当に素晴らしかった。第4セットでブレークバックされたときには少しがっかりしたよ」と、初のグランドスラム大会準決勝を戦ったあと、クエリーは言った。

 チリッチは2014年全米オープンの準決勝でロジャー・フェデラー(スイス)を、決勝で錦織圭(日清食品)を倒してタイトルを獲得し、すでに大舞台での試合を経験している。

「クエリ-も僕も第1セットをはじめ、試合を通じてメンタルの強さは本当に高いレベルのものだったと思う」と、日曜日の決勝でフェデラーと対戦するチリッチは試合を振り返った。

 チリッチは最終的に25本のサービスエースを決め、ファーストサービスのポイント獲得率を88%とした。彼はまた70本のウィナーを決め、アンフォーストエラーは21本にとどめた。

「決してサムのプレーが悪かったんじゃない。マリンのリターンが素晴らしかった。サムのサービスをあそこまでリターンできる人をあまり見たことがないよ」とクエリーのコーチであるクレイグ・ボーイントン(アメリカ)はチリッチのプレーを称えた。(C)AP(テニスマガジン)

※写真は「ウィンブルドン」準決勝でマリン・チリッチ(クロアチア/左)に敗れたサム・クエリー(アメリカ/右)(撮影◎小山真司/テニスマガジン)