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<大学生の奨学金利用率は都道府県によっては6割を超える。利用率が高い地方の学生は、それだけ借金返済の破綻リスクを抱え込んでいる>

教育基本法第4条は「教育の機会均等」を定めており、その第3項で「国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によって修学が困難な者に対して、奨学の措置を講じなければならない」と規定している。

ここでいう「奨学」の措置として代表的なものは奨学金だが、この制度を利用する学生は年々増加している。高等教育機関の学生のうち、奨学金の貸与を受けた学生は1998年度では50万人だったが、18年後の2016年度では132万人にまで膨れ上がっている(日本学生支援機構調べ)。学費の値上がりや親世代の収入が減っていることが要因として考えられる。

大学生の奨学金の利用率は、国公立大学よりも私立大学の方が高い。私立大学の中で見ると、入試偏差値の低い大学ほど奨学金利用率は高い傾向にある。しかしもっと注目されるのは、地域による違いだ。

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日本学生支援機構のデータベースをもとに、大学生の奨学金利用率を47都道府県別(大学の所在地)に計算してみた。2015年度の在学生のうち、奨学金を貸与された者が何%いたかがわかる。この比率を地図で表示すると、<図1>のようになる。

利用率の全国値は35.4%(3人に1人)だが、都道府県別に見ると、最高の63.0%から最低の24.0%まで大きな開きがある。東京では4人に1人だが、青森では6割の学生が奨学金を借りて学んでいる。

舞田敏彦(教育社会学者)