26歳初陣で、決勝アシスト! 高木俊幸が浦和に今季も上昇気流をもたらすか。写真:サッカーダイジェスト写真部

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[ACL 決勝トーナメント1回戦 第2戦]
 浦和レッズ 3 EX 0 済州ユナイテッド
2017年5月31日/埼玉スタジアム

 2試合合計スコアで済州に3-2と逆転した森脇良太の決勝ゴールは、再三に渡って左サイドから仕掛けた高木俊幸のシュート性のクロスから生まれた。76分から投入されると、再三にわたってドリブルで打開し攻撃のアクセントをつけた。その攻める姿勢が結実した一撃だった。
 
 5月25日に誕生日を迎え、このホームでのACLの済州戦が26歳初陣となった。「あと4年で30歳になるなんて、恐ろしく思う」と試合前に語っていたアタッカーは、あと1点が欲しい76分に足のつった駒井と代わって投入された。
 
 その5分後に相手に退場者が出て数的優位に立つ。それからは敵陣をほぼ全員で固める済州の守備網を打開できず苦しんだ。浦和の横パスやバックパスが目立ち出すなか、縦に何度も切り裂こうと試みていたのは、左サイドに張り出した高木だった。
 
「きっちり3点目が取れて良かった。本当、それまでカスみたいなクロスしか蹴れていなかった。だから、逆にギャップができて、相手が驚いたんだと思う(苦笑)。むしろ最後の(森脇の決勝点をもたらした)クロスなんて、『(スペースを)空けておいてもいいかな』ぐらいの雰囲気であっちは対応してきた。ただ、そこでしっかり切れ込んで、思い切って蹴り込めたのが良かったと思います」
 
 そのように高木は苦笑いを浮かべながら、延長後半9分の決勝弾を振り返った。
 
 とはいえ、そのアシストは、決して偶然ではなかった。ゴールのファーサイドに低くまっすぐ伸びて、急激にストンと落ちる、高木らしい弾道。しかも受け手だった森脇との呼吸が合って生まれたものだった。
 
「それまではフワっと上げて通らずにいたので、緩急をつけて行ってみようと思った。良い角度で入り込めて、あの地点に蹴りこめれば、モリであり誰かが詰めてくれる予感はしていた」
 
 高木はそのように、ゴールの背景を解説していた。

 この済州との2試合は、ウイングバックで起用された。シャドーと兼任できるようになれば、チームとしても戦術の幅が広がる。
 
 昨季は夏場からレギュラーを掴み、チームに上昇気流をもたらした。
 
 ただし、FCソウルに敗れたACLの決勝トーナメント1回戦のピッチには立つことができず、「ただ、見ているだけしかできず、悔しい想いをした」。そのピッチに立ち、今回はひと仕事をやってのけた。26歳の高木俊幸は、ひと味違う。まだまだ計り知れない伸びしろを持つ13番のガムシャラな姿勢が、浦和に追い風をもたらした。
 
取材・文:塚越 始(サッカーダイジェスト編集部)