レンジャーズ・ダルビッシュ有【写真:Getty Images】

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先発陣の状態が上がらないカブス、連覇実現には補強が必要

 昨年108年ぶりのワールドシリーズ優勝を果たしたカブス。連覇を狙う今季は、先発投手が軒並み苦しんでいることもあり、5月12日現在、18勝17敗と勝率5割を推移している。だが、ナ・リーグ中地区は同率首位のレッズとカージナルスでも19勝15敗と混戦模様。首位2チームを1.5ゲーム差で追う4位カブスが頂点に立つ日がいつ来てもおかしくない。

 1998年から2000年まで3連覇したヤンキース以降、16年にわたってワールドシリーズ連覇を遂げたチームはないため、若手タレントが揃うカブスにかかる期待は大きい。今季プレーオフに進出し、再び30球団の頂点に上り詰めるために、カブスが必要なことと言えば、先発投手の補強だろう。

 今季のカブスは先発投手の調子が上がらず、6試合に先発して2勝2敗、防御率8.18だった左腕アンダーソンは故障者リスト(DL)入りしてしまった。15年サイ・ヤング賞のアリエッタは4勝2敗とチーム最多勝ち星を記録しているが、防御率は5.35と不安定。その他もレスターが1勝1敗、防御率3.27、ヘンドリクスが2勝2敗、防御率3.40、ラッキーが3勝3敗、防御率4.29の成績だ。

 これから120試合以上残されたペナントレースを勝ち抜くためにも、即戦力となる先発投手の補強が必要なのは明らか。そこでシカゴの地元紙「シカゴ・トリビューン」と「デイリー・ヘラルド」の2紙が推すのが、ダルビッシュをトレードで獲得することだ。

 カブスは昨季、シーズン途中にヤンキースから守護神チャップマンをトレードで獲得。シーズン終了後にフリーエージェント(FA)となる短期間のみ在籍する選手を“レンタル”と呼ぶが、ここ数年は若手有望株を数多く獲得したカブスはチャップマンを“レンタル”できるだけの若手トレード要員を備えていたため、ヤンキースの破格なトレード要求に応えて、見事世界一に輝いた事実がある。

メッツ右腕ハービーと比較「彼はプロ。先発1番手になれる」

 現在ア・リーグ西地区の最下位に沈むレンジャーズが低迷し続けた場合、ダルビッシュはトレード要員として大きな目玉になると目されている。これを受けて「シカゴ・トリビューン」電子版では「カブスは若手有望株のトレードを厭わない」と断言して、ダルビッシュの獲得を“提言”。「デイリー・ヘラルド」電子版では、トレード候補としてメッツの右腕ハービーとダルビッシュを比較。先発日前夜に痛飲して散々な結果となり、チームから3試合の出場停止処分を命ぜられたハービーとは違い、ダルビッシュは「プロ。このチームですぐに先発1番手になれる」とし、獲得のススメを説いている。

 だが、いずれにの記事にも出てくる共通の疑問は「果たしてカブスは誰をトレード要員として差し出さなければならないか」ということだ。つまり、カブスには将来有望な若手選手がひしめいてはいるが、法外な代償を求められればトレードには応じないということ。「シカゴ・トリビューン」では、「チャップマンの時のように、短期の補強のために、おそらく三塁手キャンデラリオ、外野手ヒメネス、二塁手ハップのような未来のスターが求められるだろう。彼にはそれだけの価値があるのか?」と疑問を投げかけている。

 シーズン途中のトレードであれ、シーズン終了後のFA市場であれ、ダルビッシュ獲得に“高額”な人材や金銭が動くことは間違いない。このまま順調なシーズンを過ごし、さらに価値を高騰させることになるのか。今季ダルビッシュは注視する必要がありそうだ。