共同開発された神経損傷治療用ナノファイバーメッシュ(写真提供:物質・材料研究機構)

写真拡大

物質・材料研究機構(NIMS)は2017年2月27日、大阪大学と共同で、損傷した末梢神経に直接巻く特殊なメッシュを開発したと発表した。

このメッシュは、神経を正常に機能させるのに重要なビタミンB12を含んでおり、柔軟性が高く、体内で自然に分解される性質があるという。

ラット実験で運動機能と感覚機能が回復

開発された「神経損傷治療用ナノファイバーメッシュ」は、損傷した神経を直接包み、修復するまでビタミンB12を出し続ける。メッシュの繊維を数百ナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)まで細くするなどの工夫により、高い柔軟性を実現させた。

研究グループは、坐骨神経を損傷したラットにメッシュを移植したところ、移植から約6週間で神経の再生が促進され、運動機能と感覚機能の回復が確認できたという。

発表資料によると、ビタミンB12が神経の再生に効果があるとは分かっていたが、経口で投与しても効果は薄く、患部に直接投与する方法もなかった。新たなメッシュは、指がしびれ、細かい物がつまめなくなる「手根管症候群」などの治療への実用化に向け、研究グループは製薬会社と協議しているという。