学力だけじゃない! 「絵本の読み聞かせ」でつく4つの差&習慣化のコツ

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「なんとなく、子どもの心の発達によい影響を与える気がする」

専門家に聞いた“オススメできない”子ども「絵本」4つの見分け方

「ママ友がみんなやっているから、うちでもやってみよう」

「保育園の先生から、するように言われたから」

そんな感じで意気込んでスタートした、絵本の読み聞かせ。

でも、日々家事や育児に追われ、「忙しくて時間がない」と後回しになってしまうこともあるのではないでしょうか。

たとえば、ダイエットも「好きな人に振り向いてもらいたい」「医師から“痩せないと病気になる”と言われた」など、強い動機がないと長続きしないものですよね。

絵本の読み聞かせも同じで、さまざまなメリットを知ると、ママ自身に“内発的動機付け”が生まれるため、「しんどいな、面倒だな…」と感じていても俄然、やる気になるものです。

そこで今回は、絵本の読み聞かせで得られるものについて、『心と頭がすくすく育つ読み聞かせ』の著者の立石美津子がご紹介します。

気をつけたい「母国語の言語環境」

人は、生まれてから4歳くらいまでの間に母国語の基礎ができます。

アメリカで生まれ、英語を耳にしていれば幼い頃から英語を話すようになります。

日本語だって、「今から日本語のお勉強をしますよ」なんて特に教えたわけではないのに、日本語を使ってちゃんとおしゃべりできるようになります。

ところが!

その母国語の言語環境が「超〜」「うざい〜」「めっちゃ〜」「やばい」などのスラング的な言葉だけが飛び交う環境だったら?

また、親の口から出る言葉が「早く寝なさい」「早く片付けなさい」「早く食べなさい」「ちゃんと○○しなさい」「きちんと○○しなさい」「しっかり○○しなさい」だけのシンプルセンテンスだったらどうでしょう。

残念ながら、語彙はあまり豊かにはならないかもしれませんね。

実は、どんなにおしゃべりな人でも、子どもと親との間で交わされる会話は単なる日常会話。生活語と呼ばれ、だいたい500ワードの組み合わせと言われています。

そこで、救世主となるのが絵本です。

絵本の読み聞かせのメリット

語彙が増える

絵本の文章には、まず親子で交わされることのない言葉がふんだんに使われています。

日常的に「まじ、やばい、超」を連呼しているママも、我が子に絵本の読み聞かせさえしていれば、たくさんの言葉のシャワーを浴びせることが可能なのです。

どんなに短い文章の絵本でも、「突然、鬼が出てきました」「美しいお姫様が眠っていました」など、主語、述語、形容詞、副詞、接続詞など沢山の言葉が使われています。

感性が豊かになる

窓の外は雨…。

この光景を目にしたとき、豊かな語彙を持っている子どもは次のように感じます。

・「雨がしとしと降っている」

・「雨がパラパラ降っている」

・「雨がザーザー降っている」

・「土砂降りだ」

貧弱な語彙の子は、単に「雨が降っている」となります。

また、有名なアンデルセン童話の“マッチ売りの少女”には次のような文章があります。

少女の小さな両手は冷たさのためにもうかじかんでおりました。出典(マッチ売りの少女(ハンス・クリスチャン・アンデルセン作/結城浩訳)

ひらひらと舞い降りる雪が少女の長くて金色の髪を覆いました。出典(マッチ売りの少女(ハンス・クリスチャン・アンデルセン作/結城浩訳)

これを読み聞かせてもらった子どもは、同じ雪を見た時も単純に「雪が降っているなあ」だけではなく、さまざまに感じているかもしれませんね。

キレなくなる

まだ1歳くらいの子どもは自分の思いをうまく言葉に出せないので、友達が持っている玩具が欲しいとき「貸して」「ちょうだい」の言葉を出すよりも、手っ取り早く“歯”という武器を使って噛みつくことがあります。

でも、この噛みつきは3歳を過ぎて言葉を操れるようになってくると、自然消滅します。4歳を過ぎても噛みつく子はいません。

自分のイライラや怒りなどの気持ちの処理が、言葉が豊かになることによってコントロールできるようになるのですね。

でも、豊かな言語表現、緻密な語彙を持つことなく「死ね、消えろ、うざい」などの貧弱な語彙しかない子どもは思春期以降、噛みつきはありませんが、キレやすくなるかもしれません。

高い学力が付く

「3人の子どもに2個ずつ飴を配りました。まだ、1個余っています、飴は何個あったのでしょう」という文章題。

「3×2」のかけ算を知らなくても、文章を読んでイメージ出来る子は5歳でも「2個と2個と2個に分けても、まだ1個余っているから、元々7個あったんだ」と答えられます。

実は、算数の力は計算力だけではなく「どうやって解くか」の立式力。つまり文章を読み取って情景を想像する力が重要なのです。“読みとる力=読解力”です。つまり国語力のない子どもは3年生以降、学力が低空飛行してしまいます。

算数以外でも、全ての教科は文章を読むことから始まります。そして、読書をする子どもは読解力が育ち、国語力があります。

幼児自ら読書はしませんが、ママの読み聞かせはそのスタートです。幼い頃に沢山の本を読んでもらった子は自然に本が好きになりますから、小学生になって自分で読めるようになると、読書をするようになります。

絵本の読み聞かせを習慣化するコツ

家事と育児に追われる親にとって「毎日読む」って凄く大変なことです。

でも、歯磨きをしないと虫歯になる、お風呂に入れないと不潔になる、食事を与えないと栄養失調になる。

これらと同じように「絵本の読み聞かせをしないと、子どもの脳の栄養にならない」と考えてみませんか?

ただ、よほどストイックな人でない限り、人は楽な方に流れる傾向があります。忙しいから時間がある時に読むようにしてしまうと、「毎日→3日に一度→週に1度→月に2〜3回→ほとんど読み聞かせをしない」と、坂を転がるように、そのうちやらなくなってしまいます。

どんなに忙しくても食事はさせます、歯磨きもさせます。そこで同じように、絵本の読み聞かせも毎日のスケジュールに組み込んでしまいましょう。無意識の中で行われると、面倒だと思わなくなるから不思議です。

まとめ

おしゃべりな親の子が、おしゃべりになるのではありません。

どうしてかというと、おしゃべりなママの中には、子どもが「○○がほしい」と言っていないうちから「ああ、これが欲しいのね」と言葉の先取りをしてしまったり、「あれしなさい、これしなさい」と過干渉なだけの人もいるからです。

それよりも、たくさんの言葉を耳にした子が語彙が豊かになります。それには絵本がとても有効なのです。

人は、頭の中にある言葉(=内言)で思考します。内言が緻密であればあるほど深い思考をすることが出来ます。

更に、人の話を聞く時の理解力、自分の思いを発信する表現力、それを文章に表す作文力も豊かな言葉があってこそ育っていきます。絵本で沢山の言葉を脳にインプットされている子どもは、相手の言わんとしていることを正しく理解したり、自分の思いを正しく相手に伝えることも出来るようになるんですよ。

こう考えると“絵本の読み聞かせ”、今晩からやってみたくなりませんか?