かつては太陽系第9惑星に分類され、今は準惑星と定義されている「冥王星」。この冥王星にはハート型の大きなクレーターがあることが知られていますが、どうやらその下には液体の水が隠されている可能性があると、最新研究が報告しています。
 
科学雑誌「ネイチャー」に掲載された2つの研究によると、過去に小型の天体が冥王星に衝突し、表面がかき乱されます。そして、窒素の氷と液体の水で満たされたハート型のクレーターができたというのです。そしてその後、表面に厚い凍った層が形成。そして冥王星の衛星「カロン」が冥王星の地軸を60度回転させ、現在のような冥王星とカロンの配置になったというのです。
 
また冥王星の表面下で起きたこのような液体の撹拌と重力的な変異は、同惑星の「表面のヒビ」の原因も説明できるとしています。これについて、研究員のJames T. Keane氏は「例えば卵の膨らみを別の部分に移動させることを想像してください。それには卵を潰す必要があり、それによって壊れた部分ができるのです」と語っています。
 
冥王星とカロンは自転と公転が同期しており、常に同じ面を向けあっています。そして2015年に冥王星に接近した探査機「ニュー・ホライズンズ」は、冥王星のハート型クレーターの左側がちょうどカロンと逆方向にあることを解き明かしています。このことは、このクレーターの下に「隠された海」という質量物が存在していることを、重力の働きによって証明しているというのです。
 
今回の研究発表はまだ確定したものではなく、引き続きの調査が必要だとしています。いずれ冥王星に降り立つ探査機を派遣することができれば、この謎の海の正体を解明できる日が来るのかもしれませんね。
 
Image Credit: NASA
■There Might Be an Ocean Under Pluto’s Surface
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