友人たちと東北へ旅に出た。旅程を組んでくれた友人が数年前に行ってみたところ面白くて印象に残っているというのが福島県の南西部、福島市飯野町にある「UFOふれあい館」という施設。
「UFO」と「ふれあい」という言葉が平然と並んでいるところからして魅力を感じるではないか。話を聞くうちに私も行ってみたくなり、友人にお願いして立ち寄ってもらうことにした。

周辺で目撃例が多数ある「UFOの里」


車で飯野町に近づいていくと町全体が「UFOの里」としてPRしており、円盤型の街灯、そこかしこに建つ宇宙人像など、UFOや宇宙人に関するオブジェが目に入ってくる。




高鳴る期待を胸に「UFOふれあい館」へ向かう。


「UFOふれあい館」は千貫森公園にあるのだが、この千貫森周辺では昔から未確認飛行物体の目撃例が多数あり、また千貫森が綺麗な三角形をしていてピラミッドのようであること、強い磁場があって方位磁針が機能しないなど不思議要素も色々あることからこの地に「UFOふれあい館」が建てられることになった。

たどり着いた「UFOふれあい館」。ピンク色の円盤のような形をした目立つ建物である。


受付前のスペースには芸能人のサインも多数。プライベートで訪れる有名人もいるとか。受付に置かれたUFOこけしが可愛い。


400円の入館料を払って中へ入ると、大量のUFO関連書が詰まった本棚が目の前に現れる。これは、日本のUFO研究の第一人者で、「日本空飛ぶ円盤研究会」という団体の主催者として知られる荒井欣一氏の蔵書で、荒井氏の死後、寄贈されたものだという。


ちなみに、その「日本空飛ぶ円盤研究会」は1955年に設立されたのだが、星新一、三島由紀夫、石原慎太郎なども所属していたのだとか。作家を始めとした文化人にとってもUFOが目新しく映った時代だったのだろう。

CIA機密文書からカップ焼きそばキャラのぬいぐるみまで展示


荒井欣一氏のライブラリーを始め約3,000点の資料が所蔵されているそうで、UFO研究本やUFOテーマにした絵本はもちろん、カップ焼きそばUFOのキャラクター「ヤキソバン」のぬいぐるみまでとやけに幅広い。



UFOの模型などが展示された「ミステリーゾーン」、


「CIAの機密文書」が堂々と展示された「宇宙エリア」など、それほど大きな展示スペースではないが、UFO関連の情報が高密度で詰まっている。




様々なタイプの宇宙人のレプリカと一緒に記念撮影できるコーナーもあり、宇宙人たちの予想外にもキュートな姿にグッときてしまった。


円盤の形ばかり見ていたせいで、女子トイレのマークまでUFOに見えてくる。


千貫森がUFOスポットである理由について紹介する3Dシアターを見た後、2階へ上がってみるとなんと浴場が。


入館料を払うとこのお風呂も利用することができ、「銀河」「宇宙」と名付けられた休憩所で休んでいくこともできるという。なんだか徐々に分からなくなってきたので、「UFOふれあい館」のスタッフの方にお話を伺うことにした。

地元のお年寄りは「UFOふれあい館」を入浴施設として利用


お話を聞かせてくれたのは、「UFOふれあい館」を運営する飯野町振興公社の事務局長・菅野さんと、菊田さんのお二人。


※写真向かって右が菅野さん、左が菊田さん

まず、「UFOふれあい館」が開館したのは1992年のことで、当時の竹下登首相が各市町村に1億円を交付した「ふるさと創生事業」の交付金によって生まれた施設だという。飯野町の近隣の町村では入浴施設を備えた公共施設を建てるケースが多かったそうなのだが、飯野町ではただの入浴施設でなく何か特色のあるものにしたいということになり、目撃例が多かったことから「UFO」という思い切ったテーマが選ばれたそうだ。そんな経緯で、UFO展示+入浴施設という不思議なスペースが生まれたわけだ。

ちなみに事務局長・菅野さんによれば、地元のお年寄りには400円で利用できる入浴施設として使って行く方が多く、みんな休憩所で朝から夕方までのんびりして行かれるらしい。この円盤型の建物でそんなゆったりした時間が流れているというのが面白い。

念のため聞いたのだが、菅野さんも菊田さんもUFOを見たことは無いらしい。ただ、この施設に来るUFOマニアの方によれば、16時頃にこの辺りで見えることが多いとの証言があるんだとか。

「NO UFO, NO LIFE.」TシャツがSNSで話題に


「UFOふれあい館」のここを見て欲しい!というポイントについて伺うと、まずは前述の荒井欣一氏寄贈の貴重な資料。そして、次に5年ほど前に発売され、最近ではあまりの売れ行きに在庫僅少状態になっているという「NO UFO, NO LIFE.」Tシャツ。


このTシャツ、「UFOふれあい館」を訪れた方が購入してSNSに投稿したのが徐々に話題を呼んで人気になっているのだとか。「UFOふれあい館」を出てすぐの場所にある物産館で販売されているのだが、現在増産中らしいのでもう間もなく店頭に並ぶはずだとのこと。

また、意外なおすすめポイントが物産館内の飲食コーナーで提供されているラーメンなのだ。最近特に人気だという「ダブル地鶏ラーメン」を筆者も食べたのだが、「会津地鶏」と「川俣シャモ」という福島の地鶏のガラでダシを取っていてスープの旨みがとにかく濃厚。


コシのある低加水の中細麺、厚みはあるのにほろほろと柔らかな食感の特製チャーシュー、シャキシャキした穂先メンマと、どこをとってもクオリティが高く、正直こういった施設の食堂で食べられるレベルを遙かに超え、人気ラーメン店の域なのだ。


これについて伺うと、「(飯野町振興公社の)社長がラーメンが大好きで、よく食べ歩きをしているんです。それでスープから麺からとにかくこだわってまして」と菅野さんは言う。社長は常にラーメンの改良を目指しているそうで、もはやその姿勢は普通にラーメン屋である。

こうして私は、UFOに関する資料と浴場や大広間のある施設で、やけに美味しかったラーメンの記憶と「NO UFO, NO LIFE.」とプリントされたTシャツを手に入れ、千貫森を後にしたのだが、一体この情報量の多さはなんだろう。今となってはその記憶自体が幻だったのでは?と感じ始めているので、早く再訪しなくてはならない。

職員の菊田さんが更新しているというブログとTwitterも面白いのでぜひチェックしてみてください!

●施設情報
「UFOふれあい館」:http://ufonosato.com/
公式ブログ:http://ufonosato.com/blog/
公式Twitter:https://twitter.com/info_ufo
住所:福島県福島市飯野町青木小手神森1-299
開館時間:9:00〜17:00
定休日:毎週月曜日