10月1日、あまりにも興味深いイベントが開催されています。言葉はいりません。高円寺Pundit’(パンディット)にて行われたのは、その名も「伴田良輔の『おっぱい学』トークライブ」


写真家&作家として活躍し、女性の乳房をクローズアップで撮影するシリーズを1990年代半ばにスタートさせた伴田氏。15年以上にわたり撮り続けた究極の癒し写真の数々、そして長き経験によって培った「おっぱい学」をこの日は惜しみなく公開し、そして語り尽くすというのです。

こんな噂を聞きつけ、行かないわけにはいきません。

何がどうなって「おっぱい写真」に行き着いたのか?


当日、聞き手を務めたのはイベントプロデューサーのテリー植田氏です。



――史上初の「おっぱい学」トークショーです。会場を見ると、女性も多いですね。
伴田 今日は、リュックの中におっぱいの本をいっぱい入れてきました。
――伴田さんは、もう20年くらいおっぱいの写真を撮られているという。
伴田 はい。今、上に出てるこの写真が20年前の僕の処女作です。


伴田 これ見て思ったのは、最初の写真ですでに今とスタイルがあまり変わっていないということ。というのも、横から見るこのアングルが僕はすごく好きなんです。横から見たこっち側が本人で、向こう側は鏡で写ってるおっぱい。これはもう、完成されています。
――「おっぱいばかり撮る」という考えに、なぜ行き着いたんですか?
伴田 やっぱり、思春期の頃から「おっぱい」への憧れがすごくあったんです。触りたいけど触れない。中学生が本物のおっぱいなんて、まず見れないじゃないですか? その憧れの強さゆえ、ずーっと引きずってました。「おっぱい、おっぱい」、頭の中おっぱいだらけ。それで、考え抜いたんです。どうやったら、おっぱいが見れるのか?
――合法的に。
伴田 いきなり全身のヌードを「いかがですか?」って言っても、撮らせてくれる人は1人もいないですから。(写真を指して)、これは僕の男友達の彼女なんです。彼に「僕、今、おっぱいをクローズアップで撮りたい」って相談しました。「クローズアップ」を、思い付いたんです。
――顔は写さない、と。
伴田 この彼女は、高校3年生だったんですけど。
――このおっぱい、高3ですか!? そう聞くと、テンション上がりますね……!
伴田 美術系の絵描きを目指してて、ヌードデッサンをしたことがある子だったんです。だから「いいですよ、私で良ければ」って言ってくれて。

今まで、何人のおっぱいを撮ってきた?


――20年間で、撮影されたのは何名くらいですか?
伴田 一昨年くらいで約500人になっていました。
――で、その中には何度も撮影されてる方もいらっしゃると?
伴田 僕が好きな形であり、僕が撮りたいと思う方でないと何回も撮れないですけど。ただ、巨乳とかいわゆる「大きいおっぱいがいい」というのは無いんですよ。それより「たくさん見たい」という欲求が高いのかな。「色んなものが見たい」っていう。尽きないんですよね、それは。終わらないんですよ。だから、いつの間にか500人になってた。

「この日に撮ってほしい」というベストコンディションの日を、女性は自分でわかっている


――まず、「写真を撮らせてくれ」の口説きがあるじゃないですか。どういう状況で撮影スタジオに来てもらうのか? 女性なんで、張りのいい・悪いとか、色合いとか、たぶんその人のコンディションがあったり、コンプレックスを持ってたり、色々な問題を内に秘めてるような気がするんです。


――これを見ると、やっぱり少し張ってるようなコンディションに見えます。
伴田 おっしゃる通りで、まずモデルさんと電話で話をする。僕は、来ていただいたその日に撮るんです。あらかじめ電話で「いつ撮りましょうか?」って聞いた時、だいたい皆さんはおっぱいが張ってる日とか、自分が撮られたい日を指定してると思います。その日に、僕はちゃんと待ってるっていう。
――コンディションは全然違うものなんですかね?
伴田 それは僕にはわからないんですけど、一番いい状態で撮らせていただけるというのは本望ですけどね。
――その人自身でわかってるっていうことですよね。
伴田 最初の頃は「なんでこの日に指定してくるんだろうな?」って漠然と思ってたんですが、今明らかに言えるのは、自分が一番撮られたい日に撮られたいんですよね。

コンプレックスを持つ女性に写真を見せるとポジティブになる


伴田 一人ひとり違うっていうのが、たくさん見たい理由だと思います。感動ですよ、一人ひとり違うおっぱいを見せてくれるというのは。でも、ご本人はその違いに意外と気が付いてない。自分のしか見たことがないから。
――ご本人は「私のおっぱいは形悪い」と、コンプレックスに思っている方が多いんですか?
伴田 多いです。決意をされて来た方でも、大抵は何かコンプレックスみたいなことをおっしゃいますね。
――具体的に、どういう部分で?
伴田 「ちょっと乳首が陥没してるんじゃないか?」とか。僕からすると「陥没って言ってもちゃんとあるじゃない」みたいな。
――男って、そういうのどうでもよくないですか?
伴田 どうでもいいんですよ、僕はほとんど。綺麗であれば。できたら綺麗であってほしいけど、陥没してるから綺麗じゃないってことじゃないじゃないですか。昔、僕が出した写真集で表紙になった方のおっぱいがすごい綺麗で、彼女は「陥没してる」ってずっと言ってたんですが、僕から見るとしてないんですよね。だから、女性誌とかで作ったようなおっぱいを見過ぎてるんじゃないかなと思うんだよね。
――じゃあ、撮影後に自信を持った女性もいるんですか?
伴田 最初の頃は「写真が欲しい」って言う方も多く、あげてたんですよ。すると「自信が出た」っておっしゃる方が結構多くて。「この写真を見せて恋人ができた」とか。
――えっ!?
伴田 男の子に見せて「いい写真じゃないか」って。実際、これがきっかけで結婚まで行った方が数人いますよ。感謝のお手紙も来ました。
――じゃあ、気持ちがポジティブになることもあるんですね。
伴田 そうなってほしいし、それはうれしいですね。「コンプレックスに思ってた」って女性に写真を見せ、「こんなに綺麗だよ」って。僕がある種の証拠をさしあげると、自信を持ちますね。フォトセラピーみたいな要素がちょっとあるかもしれない。
――おっぱいセラピーですね。
伴田 まあ、僕のセレクションもちょっと入ってるんですけどね。僕が「これいいな」ってアングルから撮れた写真があると、後でその写真に近付いていくっていう効果があるみたい。

伴田さんが唱える「乳輪渦巻き説」



伴田 これは、おっぱいを撮り始めて4年目くらいの写真です。これで僕、大発見したんですね。「おっぱい学」の、僕の最初の芽生えです。
――発見ですか? (客席に向かって)何だかわかる人いますか?
女性客 乳輪が輪っかになってる?
伴田 そうそうそう、正解です。絵とか漫画に描かれているのは、同心円になってるじゃないですか。でも、左から出発して、辿っていくとらせんになってるんです。貝みたいに。それで、僕は「乳輪渦巻き説」っていうのを打ち立てて。
――皆さん、こうなってるんですか?
伴田 なってるはずだっていう仮設を立てたんです。その後、何人も検証してます。それがはっきり見えるか見えないかだけで。結局、体ってどこ見ても渦巻いてるんですよ。逆に言うと、同心円なわけがない。だから、ぜひ後で見てみてください。ワコールって会社が「乳房文化研究会」という真面目な団体を持ってて「乳房とは何か?」と京都で研究してるんですけど、そこに僕がゲストで呼ばれ、大学や産婦人科の先生など錚々たる先生の前で「渦巻き説」を発表したらキョトンとしてましたね。
(場内 笑)


伴田 これ、今日、うちの庭で採ったレモンです。レモンを採るたびに「おっぱいにそっくりだな」って思って。
――もう、頭にいっぱいですね。
伴田 横から見るとおっぱいじゃないですか。植物は、よく見ると渦が巻いてるんです。これは、是非とも見せたいと思って持ってきたんですけど。

伴田さんの”理想のおっぱい”


伴田 さっきのおっぱい(「乳輪渦巻き説」を発見したおっぱい)は、僕の理想とするバストのライン。漫画だと、おっぱいの膨らみのラインが強調して描かれるじゃないですか? 上も下も丸い球体みたいなおっぱいじゃなく、重力に引っ張られたような形のほうが美しいと思ってて。下の方は、どんどん球体に近付いていきます。
(「あ〜」と、客席から共感の声)


伴田 以前、このおっぱいがちょっと動くだけのDVDを作りました。美しいでしょ? 下乳が完全に球体なんですよ。この方が、これだけ美しいのにコンプレックスを持っていらっしゃって。
――えっ、どこに!?
伴田 「乳首が陥没気味だ」って。
――全然!
伴田 この方はあまりにも形がいいので4回くらい撮らせていただき、ついこないだも撮りましたよ。


伴田 僕の理想のおっぱいなんですけど、上が膨らんでなく、むしろスキーのジャンプ台みたいになってて、乳首で頂点を指し、下は球体というのが理想なんです。


伴田 日本の神社建築では、屋根は先が沿ってピッと上がってるじゃないですか? 日本独自の建築方式「てりむくり」って言うんです。中国から来た寺社建築が日本でこうなっちゃったんですけど、日本人はこういうカーブが好きなんだなって。「むくり」というのは膨らんだ部分で、先がシュっと上がるために一回反るんですけど、これを「てり」って言うんです。おっぱいにもお尻にも、全てにこの「てりむくり」があるんです。おっぱいの上のカーブが「てり」で、下が「むくり」です。

綺麗な「おっぱい写真」を撮る方程式


実は、伴田さんの中には「こう撮ると綺麗に写る」という方法論がしっかり確立されています。まぁ、言うまでもないですが。


伴田 腋の下から覗くこういうアングル。向こうから自然光が当たってます。変な照明より、窓から入ってくる光が体に当たるのが一番綺麗なんですね。


伴田 これは、手を添えてもらっています。自分の手を添えてもらうと優しい感じがするんですよ。これが男の手だったら全然違う意味になるんですが、女の人が自分で自分のおっぱいを持ってるというのはいいんですよね。手にも表情があります。


――マニュキュアを塗ると世界が変わりますね。
伴田 この方の乳首とか、綺麗でしょ?
――古墳みたいです。


伴田 自分で最近気が付いたんですけど、僕が常に撮ってるアングルはモナリザでした。ダ・ヴィンチかと思いましたけどね。これ、全く何にも修正してないんですよ? 最初の一枚は必ずこのポーズをとってもらいます。僕は右側のバストを撮ることがなぜか多くて、二の腕が向こうにあるのが好きです。おっぱいも自然に下から撮られてて。モナリザを見て「いつも撮ってるポーズに似てるな」と思ってハメてみたら、合ってたという。

逆に、伴田さんにとって嫌いなおっぱいの撮り方はあるのでしょうか?
伴田 おっぱいって、変な演出をしなくても十分エロいんです。“おっぱいポーズ”ってあるじゃないですか? ギュウギュウ寄せたりさ。僕、あれ大嫌いなんです。僕の写真は、あれに対するアンチテーゼもあるんです。

伴田さんの「おっぱい写真」を見た谷川俊太郎が呼応して詩を付ける


そろそろ、伴田さんの功績について振り返りたい。なんと、谷川俊太郎とコラボした経験があるとのことです。
伴田 谷川俊太郎さんと一度、『mamma まんま』という詩集を出させていただきました。谷川さんが僕のおっぱい写真を見て、詩を付けてくださるっていう。谷川さんに「写真を見てもらえないか」とお渡ししたら、「できたよ」って3ヶ月後に30本くらいの詩が来たんですよね。「写真見てるうちに書けた」って。びっくりしましたね。それからは一緒にトークショーしたり、生で詩を朗読していただいたり。

それだけじゃない。前述の通り、伴田さんは2010年にDVD『ささやくオッパイ 〜the whispe』をリリースしています。これを、みんなで鑑賞しましょう。BGMに乗り、おっぱいが静かに動く映像が展開されていきます。


伴田 変化するよね、乳首って。寒かったりするとたってくるし、それも動画だと映りますね。

また昨年には、“パラパラおっぱい写真集”とも呼べる『伴田良輔 パラパラ乳房』を発表したとのこと。



伴田 久々に立派なおっぱいの方がいらっしゃって。自分のおっぱいを揉みしだいているのをパラパラにしただけの話なんですが(笑)。

「今、自分の興味は膝の裏の“ひかがみ”にある」(伴田氏)


実は、伴田さんの興味はおっぱいのみに留まりません。


伴田 先月、『おしりとひかがみ展』を開催しました。足の膝の裏のプルプルしてる部分を「ひかがみ」と言うんですが、今、ひかがみに僕は目覚めています。ひかがみばっかり撮ってるので「おっぱいはやめたのか?」と言われたりもするんですが(苦笑)。おっぱいはおっぱいで撮り続けるんですけど、ひかがみはおっぱいに比べて撮るまでの時間がかからない。その場で撮らせてくれることもあるので、撮りやすいんですね。
――ひかがみの魅力を教えてもらっていいですか?
伴田 筋肉の境目にひし形の空洞があり、そこが皮膚に包まれ微妙な凸凹があるのがひかがみです。すりすりしたいというか、撫でたい魅力に直結してますね。
――……はあ。
伴田 年齢を重ねていくごとに、興味が細部へ行くようになります。ひかがみを真面目に撮り始めて1年ほど経つんですが、若く溌剌とした10代の女の子のひかがみは素晴らしいです。あと、ハイヒールを履いた女性がツカツカと歩いた時のひかがみの張り具合はカッコいい。それと、まったりと寝てる時の無防備なひかがみもいい。ひかがみにも色々な見どころがいっぱいあるので、ひかがみだけで展覧会やりたいくらいです。

「撮られてもいい」と立候補する女性を会場で発見!


さぁ、そろそろ会場じゅうを巻き込みます。一つ、観覧のお客さんに質問してみたい。ダメ元ですが……

――(客席に向かい)女性の中で、伴田さんに撮ってほしいと思ってる方いますか?
(すると、二人の女性の手が挙がった!)
――おーっと! 今、手を挙げた方、どこを撮っていただきたいですか?
女性客 パートナーが許せば、ワタシ的にはいいんです。承諾を得れれば、私は(おっぱいまで)……、はい。
伴田 彼に承諾得てください。本当に、彼氏のいる方が結構多いんですよ。結婚されてる方でも「撮ってくれ」という方がいたり、ずっとアプローチしていて「恥ずかしい」とおっしゃってた女性が、結婚した途端に「彼からOKが出た」ということで撮ったこともあります。

今日、会場に来ていた女性はどうなるのでしょう? 今後に期待!

伴田さんの目標は「おっぱいミュージアム」開館


そして、これからの活動について。伴田さん、ある展望を胸に秘めているようです。


伴田 これは、おっぱい写真を縦80〜90cmくらいに引き伸ばしたものです。去年展示したんですけど、「おっぱい三十三間堂」という。
(場内 笑)
伴田 仏さまが並んでるような。まさに、神々でしたね。ただ、作ったのはいいけど収蔵してくれるところがない。構想としては、「おっぱいミュージアム」を作りたいんです。どこかの県で「おっぱいで町おこし」と賛同してくれるところがあれば。僕、今は房総半島に住んでるんですけど、「房総」の「房」は「乳房」の「房」でもありますから。あと、秋田には「乳頭温泉郷」もありますし。今、秘宝館で潰れてるところが多いので、代わりにこれを持っていくとかね。そしたら、全部写真を提供しますよ!

「ひかがみ」を撮りたい。「おっぱいミュージアム」を開設したい。そして「数多くのおっぱいを撮りたい」。
当日は、女体の奥の深さと伴田さんのバイタリティの一端に触れることのできる一夜でした。嘘偽りなく、清らかな爽快感を感じたほどです。
(寺西ジャジューカ)