記者は男の一人暮らしなので、味噌汁を食べる機会はあまりありません。もちろん、自分では作らないし。でも、たまには飲んでみたいなぁ。
思い返すと、実家にいた頃に私が好きだったのは豆腐に油揚げが入った味噌汁でした。あと、大根が入ってるのもいいよねぇ。

えっ、あさりのお味噌汁ですか? う〜ん、まあまあでしょうか……。

大阪に、あさりが大好き過ぎる女の子がいるらしい


そんな私とは打って変わり、あさりが大好きな女の子がいます。大阪在住のアーティスト・ヒガイリサさんは、あさりが大好きだそう。


彼女のホームページへ足を運ぶと、ピンブローチや指輪、スカーフ、本など様々な作品を手がけていることがわかります。しかもそれら、すべて“あさり”をモチーフにしているんです!


「京都造形芸術大学に通っていた頃、卒業制作に取り組むにあたって『生活の中に可愛いモチーフはないかな?』と探しながらあさりのお味噌汁を飲んでたんです。私は、最初に殻を全部とって身だけにして飲むんですけど、その時に『あっ、いいかも!』って気付きました」(ヒガイリサさん)


思い立ったが吉日、すぐにあさりのお味噌汁の写真を撮ってアイデアノートに収めたヒガイさん。すぐさま、あさりのプロダクトを制作し、2013年にはあさりモチーフの作品のみで展示会を開催するまでに至りました。

そんな彼女がどんなあさりアイテムが展開しているのか、一つ一つ掘り下げていきましょう!

あさりの指輪やスカーフを作ってるし、ネイルもあさり柄にしている


●あさりのピン
あさりをモチーフにしたピンブローチ(1個8,600円)です。


ヒガイさんのホームページにはあさりを型どったタイプが掲載されていますが、現在制作・販売しているのは彼女が見て自身の感性でデザインしたタイプだそうです。

●あさりのリング
あさりの身に“チョン、チョン”と出っ張ってる箇所がありますよね? 「水管」という名称のあの箇所を、リング中央で表現しています。


「あさりのプリっと丸くなってる感じはリング全体で表現しています」(ヒガイリサさん)
リングは1個10,800円。水管にダイヤを入れるとプラス6,000円で、スワロフスキーを入れるとプラス3,500円です。
ちなみに、水管のサイドには「asari」と刻印されています。


いやぁ、あさり尽くしじゃないですか!

●あさりのスカーフ
パッと見はおしゃれだけど、妙にアヴァンギャルドな柄が施されている。……よく見ると、あさりの貝殻を柄にしてるじゃないの!


チェックに見えたり三角模様だったりしますが、すべてあさりの貝にある柄! その一部を抜き取って並べ、スカーフのデザインにしたのです。
「あさりの貝殻って、めっちゃおしゃれなんですよ! だから、私はネイルもあさりにしてるんです」(ヒガイリサさん)



たしかに、めっちゃおしゃれ。だから、買いたくなりますよね? でも、今は完売状態だそうです。
「今、新たに作るスカーフの素材に迷ってるんです。以前はポリエステルで作ってたんですが、今度はシルクで作ってみたいなぁ……」(ヒガイリサさん)

シルクで作ったスカーフの柄が、あさり!? 本当に制作されるかは未定ですが、そもそも発想がすごいですな。

●あさりの本
本は、2種類(1冊1,500円、2冊セット2,800円)があります。


まずは、「ASARI NOTE」の方からご紹介。


「『あさりが好き』って言ってるだけだとダメだなって思い、あさりの生態を調べてまとめたノートです」(ヒガイリサさん)
まず、あさりの解剖図を描き記します。そしてその隣に、あさりの足や口や心臓などを人間的に変換した“人間バージョン”が描かれてます。


こういった、あさりに関する細かい研究結果が記された、ヒガイさん作の知識本です。

一方の「ASARI NUDE」は、すこぶるセクシー。


「あさりの殻にはいろいろな柄がありますが、これって人間にとっての服ですよね。ということは、殻をとって身だけにするとヌードなんじゃないか? そこで、あさりの身と人間のヌードを並べました」(ヒガイリサさん)
たしかに、あさりの身は肌っぽい色合いをしている。こういう風に見せられると、心なし変な気持ちになってきます。
「いえ、みんなには『エロい!』『本当にヌードみたい』って言われるんですけど、自分としてはそんなつもりじゃないんです。あさりと人を並べただけなのに……」(ヒガイリサさん)

「あさりを好きな人っていないんです(笑)」


ヒガイさんの“あさり欲”は止まらず、今後、他にもあさりをモチーフとしたアイテムの制作を企んでいるようです。
「あさりのピアスが欲しいという人がいたので、作ってみたいです。あと、あさり貝の柄をデザインにした衣類も考えてます!」(ヒガイリサさん)



でも、これらの作品って、どういう人が買っていくんでしょう。やっぱり、あさりを好きな人?
「いや、あさりを好きな人っていないんです(笑)。あさりの良さを私がずっと語ってたら、少し興味を持って買ってくれる方が多いです」(ヒガイリサさん)

たしかに、ヒガイさんの“あさり熱”はすごい! メールでやり取りしている際も、件名は「あさりのりさです」だし。
「お味噌汁とかボンゴレとかで身近にあるけど、よく見ると『いいなぁ』って思えるのがあさりだと思うんです。知れば知るほど、カッコいい。でも、みんなは知らない。だから、その良さを伝えるのが私の役目なんじゃないかと思ってるんです」(ヒガイリサさん)


たしかに、好きなものの良さを広めたい思いってありますよね? わかります。
「わかってもらえますか!? 私は変な人じゃないはずなんですけど、変な人扱いされるんです。そんなはずじゃないのに……」(ヒガイリサさん)

ヒガイさんと話してると、ボンゴレが食べたくなってきました。あさりの引力に吸い込まれたからです。
(寺西ジャジューカ)