「卓球王国」10月号、表紙は個人銀メダルの水谷隼選手です。

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リオ五輪で男子団体では初となる銀メダルを獲得、個人でも水谷隼(ビーコン・ラボ)が銅メダルを獲得し、快挙を成し遂げた卓球男子日本代表。

今回の団体銀を獲得した水谷、丹羽孝希(明治大)、吉村真晴(名古屋ダイハツ)の3選手は、それぞれドイツで修業したという。

それにしても、卓球といえばまず中国のイメージが圧倒的に強く、福原愛選手も石川佳純選手も中国に卓球留学したのに、なぜ男子はドイツに行くのだろうか。

その理由について、『卓球王国』の佐藤祐さんに聞いた。
「男子卓球選手がドイツに行く理由は、『行きやすさ』です。日本男子はもともと松下浩二さんがドイツのブンデスリーガに参戦し、その道を作りました。その後、2002年に日本の有望な若手選手をドイツ留学させるという育成システムが生まれました」

欧州のトップコーチであるマリオ・アミズィッチが指導し、日本の若手を育てたと言う。その時のメンバーには、水谷隼選手もいたそうだ。
「なぜ、ドイツなのかというと、長年培った強く太いパイプがあるからです。契約条件、所属チーム、練習環境、チームとの連携など、ドイツのほうが中国よりもマネージメントがやりやすいのです」

また、ドイツには、チームが多くあり、1部リーグだけでなく、あまり強くない選手は2部、3部リーグでも挑戦できることもメリットだそう。
「中国は確かに世界最高レベルの超級リーグがありますが、敷居が高く、そしてなかなか日本選手をうまく受け入れてくれるチームがないのです」

加えて、中国のチームから日本選手に声がかからないこともあると言う。
「正直、中国の選手に比べると、どうしても日本選手は弱く、日本代表選手でも勝ち越すのは困難でしょう。数少ない海外選手枠を使ってまで日本選手を受け入れる必要がないのです」

男女ともに中国の壁は非常に厚い卓球の世界。しかし、日本の着実なレベルアップは、本当に頼もしい限りです。
(田幸和歌子)