テスト前になると、なぜかこんなことすらしてみたくなる?(画像はイメージです)

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中学や高校ではいま、期末テストシーズン。
ところで、試験前になると、普段やりもしない部屋の片付けをしたくなったり、本を読みたくなったり、昔の手紙を読んだり、手紙を書いたりしたくなるもの。
これは明らかに現実逃避とわかっているけど、どうにかならないものだろうか。
『中学受験が子どもをダメにする』(幻冬舎ルネッサンス新書)の著者で教育研究所ARCS所長の管野淳一先生に聞いた。

現実逃避をするのは恐怖心から


「テスト前に本を読んだり手紙を書いたりなど、現実逃避したくなるのは、いつの時代も同じですよね。子どもたちがすぐに勉強しないのは、目の前のことに立ち向かいたい自分と同時に、逃げたい自分がいるから。『勉強から逃げたい』『勉強しても良い点がとれるか不安』という恐怖心があるから、考えすぎて変な行動になってしまうのです」

その恐怖心をどうやったら消せるのか。
「まずは現実逃避したくなる心理状態に気づき、その理由を自分なりに分析すること。恐怖は、逃げるとずっとついてきますが、向き合えば実は簡単に消えるものなんです」

さらに、管野先生がオススメしているのは、「帰宅後の行動パターンを変えること」だそう。
「学校から帰ったら、まず冷蔵庫を開けて飲み物を飲んだり、おやつを食べたりする子が多いと思います。そして、その時間だけのつもりで録画しておいた番組を見たり、寝そべってマンガを読んだりする。『〇分までゴロゴロする』 などと時間を決めてダラダラしても、つい『あともうちょっと……』となりがちなのも、よくあるパターンですよね」

決めておいた時間を延ばしつつ、重い尻をなんとか持ち上げることができる子は、まだいい。さらにエンドレスにダラダラ現実逃避に突入する子もけっこういるだろう。
「そこでやって欲しいのが、帰宅したら着替えもせず、まあ着替えくらいしても良いですが、すぐに単純作業をすること。『夕食前』にやることがポイントです。ロボットのように機械的に、頭を使わず、勉強と考えずに作業しましょう。例えば漢字や単語などを、ゲーム感覚で良い、10分でも15分でも良いので、帰宅後すぐにやりましょう。そうすることで、勉強のウォーミングアップできると、否応なくやらなきゃいけない状態になるため、おやつや食事をしても、すぐ抵抗なく勉強に戻れるのです」

単純作業をするとウォーミングアップになる


確かに、私たち大人もいきなり集中力を要する仕事は、朝イチから始めにくい。そこで、朝イチのメール確認や業務連絡、新聞やネットのニュースチェックなどが良いウォーミングアップになることは多いものだ。
「コツは、何も考えずにノルマとして単純作業をすること。そのためには漢字なり単語なり、毎日帰宅後すぐにやるノルマをあらかじめ決めておく必要があります。 『さて、何からやろうかな』と迷ったり、そこから計画表なんて作り始めたら、それこそ時間の無駄になりますから」

何も考えずにサクサクやれる単純作業によって、ウォーミングアップができると、勉強する態勢が否応なく作られる。すると、やらなければいけないことが次々に見えてくるから、「現実逃避」しているヒマはなくなるわけだ。

やるべきことには早く向き合ったほうが、早く解消するので、心理的負担が減り、本当はラクだということも、みんな本当はわかっている。ぜひお試しを。
(田幸和歌子)