2016年7月4日
TEXT:小川 浩(シリアルアントレプレナー)

現在のWebメディアにおいて、Webデザイナーの役割は相対的に落ちている。はっきり言えば、Webデザインというものは、ほぼ死語になりつつある。

WebメディアはPCと比べて圧倒的に小さなモバイルの画面で閲覧されるので、凝ったデザインを施す余地がない。というより、Webメディアは小さな画面の中でできるだけ大きくコンテンツを見せなければならないので、コンテンツ消費の邪魔になりかねないデザインはむしろ排除するべき「余分な脂肪」なのである。だから現代のWebメディアにおいてはデザインは最小限でよい。

本サイトを見るユーザーはWebデザイナーである人が多いだろうが、この数年以内に単なるデザインをするだけのWebデザイナーという職業は消えて無くなると思った方がいい。

デザインが脂肪ならば(脂肪だから少しは必要ではあるが)、コンテンツこそが筋肉である。コンテンツを目立たせ、できるだけ多くのコンテンツを読み手に届ける。今後Webデザイナーに相当する職種は、どうやったらコンテンツを読み手に届けられるかを考えることであり、そのやり方を改善していくことである。いわゆるグロースハック、グロースハッカーと呼ぶべき仕事であろう。

現在のWebメディアは冒頭で述べたようにモバイルで消費されているから、考慮すべきは検索ではなく、Facebookを始めとするソーシャルメディアからの流入を最大化することだ。10代はFacebookを使わない、というが、10代を中心読者とする世界最大のバズメディア BuzzFeedへのトラフィック流入元の80%はFacebookである。

グロースハックにおいてはSEO対策はもちろんのこと、あらゆるソーシャルメディアからの流入を最大化することを考えるべきであるが、その中でもFacebook対策を最優先することが重要なのだ。

ちなみに、最近Facebookはニュースフィードに表示するコンテンツの優先順位を決めるアルゴリズム(エッジランクと呼ばれる)を変更し、友人や家族など、Facebook上で繋がっている個人ユーザーの投稿を優先すると発表した。この意味は、企業のFacebookページのコンテンツを後回しにする、と言っているのに等しい。


Facebook News Feed/Your Top Stories

ニュースフィードに表示されているコンテンツは、当たり前のことだが、自分と繋がっている相手が投稿したすべてのコンテンツではない。恐らくはほんの数パーセントにすぎないのだが、今回のFacebookのアルゴリズム変更によって、企業アカウントからのFacebook投稿コンテンツが一般ユーザーに届く確率は、1パーセントを切るかもしれない。

このため、グロースハッカーとしては、Facebook上に投稿するコンテンツをより多くの読み手に届けるために、少しでも多くの「いいね」やシェア、コメントを得る努力をしなければならない。シェアされたり、いいねされたりしたコンテンツは間接的だが一般ユーザーによる投稿とみなされて、エッジランクが上がるからだ。

かつてWebデザイナーは、読みやすさの向上や、ブラウザーの種類やモバイル端末の種類によって発生するかもしれない表示上の誤差を抑えるなどのケアをしなければならなかった。が、今ではWebデザイナーはコンテンツができるだけ多くの読み手に届くために、さまざまなソーシャルメディアやソーシャルアプリなどに閲覧されやすいフォーマットで作る指導をしなければならないし、Facebookのようにコロコロルールを変える相手をフォローし続けなければならない。

結論として、Webデザイナーはコンテンツの流通を担う職種へと自ら変革する必要がある。それはいつか。今でしょ(死語)。

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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろ●シリアルアントレプレナー。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。
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