北朝鮮が22日、相次いで発射した中距離弾道ミサイル・ムスダンのうち、1発目は150キロの飛行距離で空中爆発したものの、2発目は400キロ余りを飛行。韓国軍当局は2発目について、「技術的な進展があった」と見ている。本来なら500キロ以上の飛行が成功の目安となるが、北朝鮮は日本の反発を避けるため、発射角度を変えて飛距離を調整した可能性があるという。

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北朝鮮の金正恩党委員長は3月、早い時期に核弾頭の爆発実験と核弾頭の装着が可能な弾道ミサイル発射実験を実施するよう指示。これを受け、4月15日に初めてムスダンの発射実験が行われたが、空中爆発して失敗した。

「日本に届く」

続いて同月28日に2発、5月31日に1発の発射実験が行われたが、いずれも失敗。5月の実験では移動式発射台の上で爆発したとも言われる。そして、今回の6発目である程度の成果が表れた形だ。

中谷元防衛相は22日午後、2発目の弾道ミサイルの飛行を分析した上で、日本に届く可能性があるとの見方を示した。「日本に飛来するミサイルの種類が増える。日本の安全保障上、強く懸念する」と語った。

ムスダンは射程2500キロ〜4000キロ。発射に成功すれば日本全土だけでなくグアムも圏内に入る。

金正恩氏は相当数の中距離弾道ミサイルに核弾頭を装着。発射動向の把握が難しい移動式発射台に載せ、地下トンネルなどに隠すなどして、米軍などの攻撃に対する生存性を高める狙いと見られる。

北朝鮮はまた、隠密性の高い弾道ミサイル潜水艦の開発も進めており、これらが実戦配備されることになれば、東アジアの安保環境に大きな影響を与えることは必至だ。