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●長時間使用した生理用ナプキンは雑菌の温床に
女性にとって、体の臭いは気になるものです。特にデリケートゾーン(陰部)の臭いについては、異性に指摘されて悩んでいる人もいるのではないでしょうか。

女性のデリケートゾーンは臭いが発生しやすい場所ですが、原因を知って適切なケアをすることで、ある程度臭いを抑えることもできます。今回は、女性のデリケートゾーンの臭いの原因や対処法についてお話しします。

○臭いの原因は「雑菌繁殖」

ほとんどの場合、臭いの主な原因は雑菌です。女性のデリケートゾーンは雑菌が増えやすく、下着に付着している尿や汗、おりもの、生理中の経血などをエサにして雑菌は繁殖し、臭いの元になります。

臭いを抑えるポイントは、雑菌の栄養となる分泌物をできるだけ取り除き、デリケートゾーンがむれないように気をつけること。下着やおりものシート、生理用のナプキンはこまめに交換し、コットンの下着やスカートなど、体を締めつけず通気性の良い衣服を身につけましょう。

○デリケートゾーンの洗いすぎに注意

夏場なら、1日に2回程度シャワーで汗を洗い流すのもいいでしょう。ただし、膣の中を洗いすぎないように注意。膣には自浄作用があり、細菌の中には皮膚を守る役目も担う常在菌(乳酸菌の一種)も存在しています。清潔を心がけるあまり、トイレに行く度にデリケートゾーンを洗浄したり、洗浄力が強い石けんで洗ったりしていると、体にとって必要な常在菌まで減ってしまい、かえって臭いの元になる雑菌が増えることも。入浴した直後以外は、多少すっぱいような臭いがあるのが普通なので、過剰に気にする必要はありません。

また、アンダーヘアが雑菌繁殖の原因になることもあります。好みはありますが、VIO脱毛(アンダーヘアの部位の総称で、前面を「Vライン」、女性器まわりを「Iライン」、肛門まわりを「Oライン」と呼びます)をすると、臭い対策にもなるでしょう。

●強く臭うときは、スソワキガや性感染症の可能性も?
○汗やおりものの臭いとは別物!? 「スソワキガ」とは

清潔を心がけているのに、臭いが強い体質の人もまれにいます。その場合は、「スソワキガ(外陰部臭症)」の可能性が考えられます。

一般的にスソワキガは、デリケートゾーンに「アポクリン汗腺」という汗腺を多く持つ人に起こります。ワキの下から強い臭いがする症状を「ワキガ」と言いますが、これもスソワキガと同じ原因で起こると言われています。アポクリン汗腺から出る汗には、脂質やタンパク質、アンモニアといった臭いの元になる成分が多く含まれています。これが皮脂腺から分泌される脂肪酸と一緒になり、常在菌によって分解されることで、強い酸臭や腐敗臭のような独特の臭いを発するのです。

アポクリン汗腺は、もともとは人間の体じゅうにありましたが、その多くは進化の過程で退化したと言われています。そのため今では、ワキや陰部、乳首の周り、へその周り、耳の中など、体の限られた部分にしか残っていません。また、かつては動物のように、アポクリン汗腺から発するワキガやスソワキガの臭いが、異性を引きつけるフェロモンの役割を果たしていたとも考えられています。

○性感染症や膣炎などの病気の可能性も

スソワキガは体質によるものなので、ケアだけで解消することは難しいのですが、動物性タンパク質や脂肪分を多く含む食品の摂取を控えめにすると、臭いが和らぐことが期待できます。また近頃では、スソワキガやワキガの治療を専門に行っているクリニックもあります。

ただしデリケートゾーンやおりものの臭いが強い場合、ストレスで免疫力が落ちているか、性感染症や細菌性の膣炎などの病気にかかっている可能性もあります。臭いに悩んでいる人は、まずは婦人科を受診して原因を探りましょう。

※画像は本文と関係ありません

○記事監修: 水本賀文 医師

駅前三軒茶屋 みずもとレディースクリニック院長
昭和61年3月に防衛医科大学校卒業後、昭和63年6月に自衛隊中央病院産婦人科に赴任する。途中、防衛医科大学校医学研究科(大学院)およびドイツハンブルグ大学付属研究所に留学する。平成11年10月に自衛隊中央病院に復帰し、平成19年3月からは産婦人科部長として勤務する。平成26年9月に世田谷区三軒茶屋で開業に至る。

資格・所属
母体保護法指定医師/日本医師会認定産業医/日本産科婦人科学会専門医/日本内分泌学会内分泌代謝専門医・指導医/日本臨床栄養学会臨床栄養指導医/医学博士

役職
自衛隊中央病院非常勤医師/社団法人関東連合産科婦人科学会編集幹事/公益社団法人日本産婦人科医会幹事

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