蔡英文氏

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(台北 18日 中央社)2008年から続いた中国国民党の馬英九政権が今月20日に任期満了を迎えるのを前に、シンクタンクの台湾智庫は17日、政権交代に関する世論調査の結果を発表した。民主進歩党の蔡英文主席が20日の総統就任後、優先的に取り組むべき課題は「経済」で「両岸(台湾と中国大陸)関係」などを大きく上回った。

調査結果によると、新政権の優先事項として挙げられた課題のうち、「経済発展」(56.6%)が最も多く、「雇用の促進」(24.7%)、「教育」(17.9%)、「年金改革」(16.0%)が続いた。「両岸関係」は15.9%で5番目だった。

蔡氏が20日の就任演説で、中国大陸が求めている「92年コンセンサス」の受け入れを表明すべきかについては、「すべきでない」とする人が54.3%で半数を超えた。

馬政権に対する評価の平均点は100点満点中48.2点で、41点〜60点を付けた人が最も多かった。また、馬総統の退任後、馬氏がこれまでに関わった訴訟について、関係機関が再調査をすべきだと回答した人は68.6%に上った。

このほか、沖ノ鳥礁(日本名:沖ノ鳥島)近海で先月下旬、台湾漁船が日本の海上保安庁に拿捕(だほ)された問題については、協議などによる平和的解決を求める人が7割以上を占め、武力によって漁船を保護すべきとした人は2割程度にとどまった。

調査は20歳以上の市民を対象に12日から14日にかけて行われ、1069人から回答を得た。

<92年コンセンサス> 1992年に台湾と中国大陸が窓口機関を通じ確認した両岸対話の原則。“一つの中国”を前提としているがその解釈には触れておらず、国民党は「一つの中国=中華民国」との立場を示している。民進党は同コンセンサスを認めていない。

(許秩維/編集:杉野浩司)