男女関係のトラブルにはご注意を(画像はイメージです)。

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例えば、年収数億円のプロスポーツ選手やアーティスト、俳優、タレントの浮気が発覚したとき。
テレビを見ながら、「離婚、離婚!こんなヤツと早く別れて、奥さんは慰謝料たんまりもらえば良いんだよ」なんて呟いたことのある人もけっこういるだろう。

では、例えば自分の妻、あるいは夫が、年収1億円を稼ぐ「遊び人」の実業家や有名人と不倫していることがわかったら、いったい慰謝料はいくらもらえるのだろうか。アディーレ法律事務所(東京弁護士会所属)に聞いてみた。

もらえる慰謝料は意外に少ない?


「皆さん、『慰謝料』は高収入ほど高いというイメージをよくお持ちですが、裁判になった場合の『慰謝料』の金額は100万円〜300万円が相場ですね」(篠田恵里香先生)
え! 相手が数億円稼いでいるときでも、それだけしかもらえないの!? 
「相手がいくら稼いでいるかは、あまり関係ありません。例えば、月収25万円の家庭の奥さんが年収1億円の遊び人と不倫した場合、相手がそれだけ稼いでいるなら『1000万円以上は慰謝料をとれるだろう』などと思われがちですが、『慰謝料』は年収によりさほど変わらないので、どんなに高くても400〜500万円程度でしょう」
でも、ハリウッドスターの浮気や離婚で、莫大な金額を聞く気がするけど……。どういうことなのか。
「メディアで『慰謝料』と報道されている金額の中には、財産分与が含まれているためです。婚姻期間中に貯まった貯金を離婚時に分配するため、1000万円とか1億円とか大きな金額が言われる場合、ほとんどが『財産分与』の金額です」

不倫相手を訴えた場合はどうなる


では、奥さんの不倫相手として、年収1億円の遊び人を裁判で訴えた場合、もらえる金額は300万円程度ということ?
「夫婦が不倫を機に離婚した場合、婚姻期間や不倫の内容にもよりますが、やはり300万程度が目安になるでしょう。当然、『不倫をした奥さんも悪い』ということになります。慰謝料は、不倫をした2人に対して合計いくらという考え方で、どちらにも全額請求ができるとされているので、『求償権』といって、被害者に全額支払った後、『お前も悪いんだから一部負担しろよ』という権利を行使することにより、奥さんも責任割合に応じて不倫相手に負担分を支払うことになります」
夫は、高収入である不倫相手に全額請求するのが得策だが、責任割合が5分5分の場合、奥さんも150万円負担し、不倫相手の負担分は150万円だけとなる。
「結局、たっぷり稼いでいる不倫相手にとっては痛くもかゆくもない金額で、夫にとっては納得いかない話かもしれません」
ただし、「慰謝料100万円〜300万円」という金額は、あくまで裁判になった場合のこと。なかには「裁判を何としても避けたい。立場的にまずい」という人もいて、そうした場合は、話し合いで慰謝料の額が決まるので、金額がもっと大きくなる可能性もあるそうだ。

ちなみに、暴力・酒乱・ギャンブル・働かないなどの理由から、一刻も早く別れたいと思った女性が、夫から慰謝料も何ももらわずに離婚してしまうケースはよくあるもの。そうした場合の慰謝料等は、後からもらえないものなのか。
「慰謝料にも時効がありますが,離婚後3年以内に請求すれば別れた後でももらえる可能性はあります。財産分与は離婚後2年、養育費は期間制限なし等、意外に複雑なので詳しくはご相談ください」

何ももらわず離婚してしまい、後悔している人は、急いで弁護士に相談してみては?
(田幸和歌子)