キャプテンとしてチームを牽引する宮間。その存在はリオ五輪最終予選でも絶対に欠かせない (C) Getty Images

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 2月29日に初戦を迎えるリオ五輪最終予選へ向け、なでしこジャパンは沖縄で2次合宿を行なっている。
 
 5日目の練習後、クールダウンを終えて選手たちが下がっていくなか、チームスタッフと一度ロッカールームへ足を向けたMF宮間あや(湯郷ベル)が、再び練習場に戻り、フィールドに残っていたGK福元美穂(湯郷ベル)と話しながら、ロッカールームへ向かった。
 
「もちろん佐々木監督の指示が第一になりますが、もし監督の指示が届かない時にでも、きちんと試合の状況を把握して、ベンチを含めて同じプレーを選択できるようにならないといけない」
 
 今回の合宿では4-4-1-1や5バック、SBとサイドハーフを時間限定で入れ替えるなど、さまざまな形を試した。
 
「もし5バックなど、いつもと違う形で戦う時には、もっと密に『こういう時はこうする』という考えを、味方同士で詰めていきたい」
 
 加えて、宮間自身は今合宿では海外組が不在だったため、ボランチでのプレーが主だったが、最終予選では宇津木瑠美(モンペリエ)がボランチに入ることが予想され、サイドハーフやトップ下など複数のポジションでのプレーが求められそうだ。
 
 対戦相手と試合状況、または味方の調子によっていくつかのポジションをこなすため、キャンプではとにかく周囲とのコミュニケーションを図った。
 
「中盤でボールを奪い切るというのが、私たちのコンセプト。そこからチームが始まっている。できればDFの4人のところまでボールを運ばせずに奪い切る。(中盤で奪えずに最終ラインまで)漏れてしまった時でも、DFが奪いやすいように誘導することが私たちの役目。そのためにも、中盤の守備はハードにやらないといけない」
 
 ただ、アジア予選の厳しさを知る宮間は、思い通りに試合が進まないことも想定している。メディアがチームの仕上がりを訊いても、石垣島での1次合宿からずっとその答えは変わらない。
 
「今どうこうというより、結局のところ、アジア予選で私たちがなにをできるのかが大切」
 
 澤穂希の現役引退によって、宮間に対する期待は今まで以上に大きくなっている。澤が現役の時、「あやになら、任せられる」という言葉を何度も発していた。宮間になにを任せられるのか。それは恐らく『代表』、そして『日本』ということだろう。
 
 さらに澤は現役引退会見で、『結果』という言葉を何度も使った。澤がこれからのなでしこジャパンに期待すること。それは、紛れもなく目に見える結果だ。
 
 今回の最終予選は、6チーム中、上位2チームしか本大会に進めない厳しい条件にある。
 
 それでも数分、数十秒の細かいコミュニケーションの積み重ねが、必ず大きな結果につながると宮間は信じている。だからこそ今日もチームメイトに歩み寄り、話しかけるのだ。
 
取材・文:馬見新拓郎(フリーライター)