新次郎ったら嬉しさダダ漏れ「あさが来た」54話

写真拡大

朝ドラ「あさが来た」(NHK 月〜土 朝8時〜)11月28日(土)放送。第9週「炭坑の光」第54話より。原案:古川智映子 脚本:大森美香 演出:新田真三


54話は、こんな話


突然、九州にやって来た五代友厚(ディーン・フジオカ)は、あさ(波瑠)がおそれを見せず前を歩む者「ファースト・ペンギン」に例えて励ますと、去って行った。
その後、しばらくぶりに大阪に帰ったあさは、久しぶりの新次郎(玉木宏)との再会を喜んだのもつかの間、正吉(近藤正臣)が家族や番頭、女中を集めて、隠居すると言い出した。

素敵な男のひとばかり


ペンギンの説明に、ものすごいクオリティーの高いアニメが、しかもけっこう長い尺で使われていて、びっくりぽん。
そのペンギンの話であさを励ます五代といい、あやしいBGMで「新次郎さんは元気だすか?」と謎の言葉を発するサトシ(長塚圭史)といい、あさのまわりには突拍子のない謎の男がいっぱい。
五代は、あの帽子と洋服から、どうも魔法使いに見えてならない。この世のひとではない、あさを助けてくれる存在のようだ。話すだけ話して馬でさっさといなくなるって・・・。まあ、そうでもしないと、あまりにも都合が良過ぎるが。
五代はもしくは「キャンディキャンディ」の丘の上の王子様かアルバートさん(同じか)。新次郎の涼し気なお顔は大和和紀の絵のようだが、ディーン・フジオカの黒めがちの大きな瞳はいがらしゆみこの漫画のようだ。

五代の勢いが止まらないが、あさはきっぱり「うちのフレンド」と言う。あさはやっぱり新次郎が大事。あさが大阪に帰ってきて、新次郎に抱きしめてもらうシーンは、あさの嬉しい表情が真に迫っていて、お姫様抱っこ回に追随しそうなキュン度の高さ。
これを見てわかったことがある。女主人公の相手役は、女優の芝居をリアルにさせる力のある俳優でないといけないということ。玉木宏は相手役の感情を引き出す力をもっている。あさを抱きしめて嬉しさだだ漏れの顔もいい。
鏡を見て、うなじを触り、ちょっと女の顔になっているあさ。旦那さまの三味線を堪能した翌朝、太陽光を全身に浴びている画からはあさの満ち足りた気持ちが伝わってくる。

イケメン話ばかりだが、惣兵衛(柄本佑)も今回は早く帰ってきた。もうすっかり優しくたくましい旦那様。53話で、新次郎とはつが寂しさをちゃんと我慢して良かったね、と思う。信じて待つことの大切さを感じさせてもらった54話だった。
(木俣冬)

木俣冬の日刊「あさが来た」レビューまとめ読みはこちらから