ハリウッドで活躍する日本人!和田元子さん
 - Photos by Mayumi Nashida

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 いくつになっても夢を追うことは可能だ。映画『I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE』を製作したブルースカイ・スタジオに所属する日本人スタッフの和田元子さんは、はじめからCGの道を志していたわけではなかった。

 人気キャラクター「スヌーピー」を初めて3D / CG化した本作では、チャールズ・M・シュルツさんのコミック「ピーナッツ」を原作に、スヌーピーと彼の飼い主であるチャーリー・ブラウンの絆や、チャーリーの初恋模様などが描かれている。和田さんは、チャーリーやスヌーピーなどのキャラクターを2Dから3Dに立体化する最初の作業「モデリング」を担当した。

 和田さんは、大学時代は京都大学で哲学を専攻していたという。その後、壁画の親方に弟子入りし修行した後に、博物館や美術館などの内装設計を手掛ける会社に入社。しかし『ターミネーター2』を観て衝撃を受け、この技術があれば「人間が想像するものを何でも作れる」とCGに興味を持つと、休職して大学院でCGを学ぶため渡米。その後紆余(うよ)曲折を経て、約10年前にブルースカイスタジオに入社した。

 同スタジオで手掛けた作品は、『アイス・エイジ2』『メアリーと秘密の王国』など。和田さんは、どの作品も思い入れのあるキャラクターが作れたと満足そうに話す。CGの世界でベテランの領域に入りつつある彼女だが、今回の『I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE』は、原作の世界観を壊さないようにするために、非常に苦労した作品だったと語る。

 「コミックのラフな線を生かすには?」「もしもあの世界が現実にあったらどうなんだろう?」和田さんたちのチームは想像力をフルに活用し、完璧なリアルさではなく、漫画の世界を3Dならではで再現する手法を取った。そのためキャラクターや建物などの線には、手描きのような温かみのある曲線が存在する。「リアルで触れそうな世界なのに、漫画の世界という不思議な感じにできたんじゃないかなって。2Dにはないアプローチができたんじゃないかなって思います」。

 好きなキャラクターを問われると、テクニカルな面で思い入れのあるキャラクターは「ピックペン」、面白いと思うキャラクターは「チャーリー・ブラウン」と明かした和田さん。アメリカというマッチョや強さが好まれる社会で、何をやってもダメな男の子として登場するマイナーな存在のチャーリーが支持されたことが興味深いのだとか。「アメリカだと珍しい立場の彼がとても支持されているという面白さも知ってほしいですよね」とにこやかに語っていた。(編集部・井本早紀)

映画『I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE』は12月4日より2D / 3D全国公開